《このコラムは、新聞「アドバタイムズ」2010年3月17日発行号に掲載されたコラム記事「i(アイ)トレンド」をWeb上に転載したものです》
3月12日に行われた「WOMマーケティングサミット2010」で発表されたWOM(口コミ)マーケティングに関するガイドライン。日本では業界団体の自主規制という形で進めており、ガイドライン策定プロジェクトのプロジェクトリーダー・藤代裕之氏によって発表された。米国では日本の公正取引委員会に相当する米連邦取引委員会(FTC = Fair Trade Commission)が策定したGuides Concerning the Use of Endorsements and Testimonials in Advertising というガイドラインがあるが、こちらは違反すると最大で$11,000の罰金を課されることもある。
日本のガイドラインは、「関係性明示の原則」と「社会啓発の原則」の2項目から成り立っている。WOMマーケティングサミットでは「WOMマーケティングが成立している」ということに関して、「依頼者」と「被依頼者」がいることと説明していた。例えば企業から広告会社へ金銭でブログ掲載を発注し、広告会社が消費者にブログ掲載に関して金銭を渡す場合には、「企業」と「広告会社」の間に「依頼関係」が存在し、「広告会社」と「消費者」の間にも「依頼関係」が存在している。これは、企業が消費者に直接商品やサービスを渡しブログ掲載などを依頼する場合にも当てはまる。また、もっとも重要なこととして「消費者が理解できること」としている。つまり、「金品をもらって書いているのであればきちんと開示してください」ということである。
ただし、このガイドラインでは実際にどのように運営すればよいか定かでない。結果として「理解できるようにする」というのはどのようなことなのか、今後は色々な質問が出てくると予想される。例えば、金銭をもらって掲載を依頼されたブロガーはブログのどこにどのような文言を記載すればよいのか? 文字数が制限されているツイッターではどのような記載をすればよいのかなどである。
また企業や広告会社はどのようにすればよいのかもはっきりしていない。筆者の個人的な意見としては、最終的に「消費者」が目にするWOMの明示は、その文体は各依頼者間で合意された内容であるべきで、明示されているかの監視義務は依頼者である企業側に発生すると考えている。
この領域はまさにいまから拡大するのでどのような発展をするのか楽しみである。
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