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コラム

CSR視点で広報を考える

ニュージーランド地震に学ぶ

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地震国日本で自分の身を守る為に

2月22日午後、ニュージーランド南島の最大都市クライストチャーチでM6.3の直下型地震が発生した。この地域では昨年9月にもM7.0の大規模地震が発生しており、建物に対する強度が危惧されていたタイミングでのこの度の地震であった。

現地の救出活動を担当する責任者は、何度もマスコミの前で「パンケーキ・クラッシュ(Pancake Crush)」と叫んでいた。このパンケーキ・クラッシュとは、建築物の柱がフロアを支えきれずに、上の階から下の階に向かってフロア自体が崩れ落ちるように倒壊する現象を指している。

近年では高層建築物は、フロアの柱を減らす額縁構造が多く取り入れられており、柱を埋め込んだ壁だけでフロア全体を支える構造となっているものも多く、十分な強度と耐震・免震構造を保っていないものがある。

さらに、昨年9月の地震で、壁や柱に「コスメティック・ダメージ(Cosmetic Damage)」が発生していた可能性がある。コスメティック・ダメージとは地震の揺れにより影響を受けた建物の壁面や柱などに発生する毛細血管のようなヘアークラック(髪の毛のような細いひび割れ)で、これが発生すると建物に対する強度に脆弱性が発生すると言われている。

一般的に柱が少なく特に1階がピロティーなど、開口部が広く造られている建物はクラッシュしやすい。また、地盤面のねじれや沈下などの影響を受けて床面に傾斜ができている建物も地震に弱い。

クライストチャーチのように比較的最近(3年以内)、大規模地震の影響を受けた場合も建物強度に問題が発生する可能性があるので、その建物に居住、もしくは働く場合は注意が必要である。

パンケーキ・クラッシュによる建物崩壊では、折り重なるように上の階から下の階へ崩壊が連鎖するため、不幸にも居合わせた人々は瓦礫に飲み込まれることになり、自力での避難が難しいとされている。

このとき重要なのは、水、温度、空気である。阪神・淡路大震災では消防放水や雨水で命をつないだ多くの人がいた。また冬場には外気温が下がる夜、夏には灼熱となる昼間の時間帯が危険とされている。最も精神的なストレスを与えるのは崩壊後の閉鎖環境で、十分な空気が維持されているかどうかである。

崩壊現場では騒音にまぎれて声が外部に届かないこともよくある。この場合に有効なのは携行型のホイッスル(笛)だ。最近では、多くの地震で地震救助犬が大きな役割を果たす場合もあり、ホイッスルを使えば、かなり遠い場所からでも救助犬が気づいてくれる可能性がある。私自身も一つ、いつもこのホイッスルを携行している。

白井邦芳「CSR視点で広報を考える」バックナンバー
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