情報公開の姿勢も企業評価の対象に
自社が文脈をコントロールできないソーシャルメディアで語られ、さらに内部告発を制度化するメディアが登場する事態は、企業にとって危機に見えるかもしれない。しかし、筆者はどちらかというと有利に運べばチャンスではないかと考えている。従来から口コミや風評はあったのである。ただ違ってきたのはそのスピードとインパクトであり、上手く活用するためには今までと違うマインドが必要になる。
まず一つは自ら情報を発信する場、すなわち「自社メディア」及び「ソーシャルメディア上の自社領域」を持っていることが重要になる。情報の伝達スピードは速く24時間止まらないので、いち早く正しい情報を届けることが必要になり、そのためには100%コントロールできるメディアを持っていなければならない。当該企業がタイムリーに情報を提供しないと、憶測などで誤った情報が広がってしまう可能性があるからである。
また、情報の信頼性を担保する必要があるので、単純に「広告」としてではなく情報を欲しがっている人にタイムリーに提供することも重要だろう。自社や商品の情報がインターネットで検索されたときに、当該の情報へ消費者を誘導する必要がある。これは昔からSEOやSEMと言われている検索エンジンの最適化や、広告でもコンテンツと関連のあるものが配信できるインタレストマッチや属性に合わせた配信が出来るデモグラフィック・ターゲティングなどのテクニックを活用することが有効であろう。
さらにその内容であるが、ある程度わかりやすいように咀嚼(そしゃく)する必要はあるものの、基本的には事実をオープンに提供するべきであると考える。企業秘密や必要のない情報を公開する必要は当然ないが、タイムリーに情報公開する企業はその姿勢自体が情報の内容以上に評価されることもあるだろう。
逆に、全てがこのようにいくわけではなく、制限も必要だ。日本中央競馬会(JRA)は6日、開催期間中にツイッターでつぶやいたために騎乗停止となった騎手を発表したが、公営ギャンブルという立場では当然であろう。また、自社のことをソーシャルメディアで語った従業員の書き込みが消されていた例も散見される、これは従業員個人の感情が入ってしまうとやはり正確に情報を伝えるのが難しいという面もある。
このように個人での運用に関してはまだまだいろいろ改善の余地があり、社内教育も必要だと考えている。一方企業としては、タイムリーに事実を伝えていくことが原則になるので、実はかえって運用しやすい可能性が高いのではなかろうか。
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