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相次ぐサービス導入で「入札型広告」はどこまで普及するのか

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事業会社の新サービス導入進む

最近デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)とサイバー・コミュニケーションズ(CCI)の2社がディスプレー広告の新しい入札広告サービスをアナウンスしたので注目したい。DACの、高速入札・応札によるインターネット広告の取引基盤を提供する新会社「プラットフォーム・ワン」が4月1日に営業を開始した。アドバタイムズのインタビュー記事では、1回の広告表示ごとに約0.05秒で入札・応札する「リアルタイム・ビッディング」(RTB)システムを目玉に、インターネット広告の取引基盤(プラットフォーム)を提供するという。もともと同社の運用するアドネットワークでの広告は表示単価が決まっており、表示回数の最低限などがあるので効果の面から大企業、スケールの点から中小企業が利用しにくかったという点がある。欧州でサービスをしているIponWebHoldings Ltd.(アイピーオンウェブ・ホールディングス)との戦略的な業務提携により早期のサービスが可能になったということである。

一方のCCIも6月7日に、オンラインアドエクスチェンジ『OpenX Market Japan』のフルサービスの運営、提供を開始する旨の発表を行った。同じく米国OpenX Technologies 社が提供するRTBを導入し、複数のサービスと提携することで効率的な顧客ターゲティングが可能としている。OpenX Market Japanはマイクロアドが提供する、オーディエンスの行動履歴や興味対象などのプロファイリングデータを仲介するデータエクスチェンジ「MicroAd PIXEL(マイクロアド ピクセル)」、オプトの運営するオープンデータプラットフォーム「Xrost」やセプテーニのオーディエンス・マネジメントプラットフォーム「Stamp」においても、自らのオーディエンスデータを利用したRTB での買い付けができるようということである。

しかし、これらの広告手法にはリスティング広告には存在している手軽さが抜けている部分がある、それが広告素材の作成である。リスティング広告では文字を打ち込むだけでよかったのに対してディスプレー広告では画像を作らねばならないのである。限定1個の在庫を処分するためにアカウントにログインして文章を打つことはあっても、画像を用意するとなると非常にハードルが厄介になるのである。したがって筆者は少なくとも当初は小さな広告主の参入は多くないだろうと考えている。

素材確保に問題があるとはいえ、このような動きが国内で活発化してきたのは良いことであると考える。文字・静止画・動画などフォーマットは違えど、デジタル化されネットワーク化された広告の領域では入札方式ということが広告媒体・広告主の双方にとっての効果や収益の最大化につながり、消費者にとっても自分がまったく興味を持たない広告に接触する機会が減ると考えられるからである。そして筆者はいずれデジタル化されネットワークされることによりこのような入札広告がラジオやテレビにも波及するのではないかと考えている。現在深夜番組でショッピングを目にすることが多いが、ネットと連動しているのですでに知見はたまっているのではなかろうか?そうなるとコンテンツの作り方も自然と変わって来るはずだ。大きく開かれているこの分野の進化が非常に楽しみである。

【P.S.】この記事を入稿後に以下のニュース が飛び込んできた。Google、ディスプレイ広告管理ツールのAdmeld買収を正式に発表。詳細は公表されていないが、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルがこの件に近い筋の情報として伝えたところによると、買収総額は約4億ドルという。Admeldは2007年創業の、ニューヨークに拠点を置く非公開企業。Webパブリッシャーと広告主向けに、オンラインの広告ネットワークおよび広告取引市場(Ad Exchange)の利用を管理するツールを提供している。複数の広告ネットワークやDemand Side Platform(DSP)をサポートしており、GoogleはAdmeldの広告管理サービスや技術をDoubleClickやAdMobに取り込むことで、より柔軟に使える広告管理ツールを顧客に提供できるようになるとしている。ついにGoogleがこの分野に本格参入等ことになると大きく勢力図が変わる可能性がある。いずれにしても注目したい分野である。

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