環境経営に関する研究・調査を行う日経BP環境経営フォーラムは、主要企業ブランド560社の環境活動に対する消費者の印象を調べた「第12回環境ブランド調査」の結果を発表した。前回3位だったサントリーが順位を上げ、初めて1位にランクインした。
2000年に開始した同調査は、今回で12回目。第1回から第10回まで10年連続でトップを維持していたトヨタ自動車は、前回から2年続けて2位にとどまった。また、前年1位だったパナソニックは、今回4位に順位を下げた。
調査は、インターネットを利用したアンケート形式で実施。調査時期は今年5月23日~6月22日の1カ月間で、全国の消費者2万2294人から有効回答を得た。
サントリーは、「自然保護に力を入れている」「生物多様性や動植物資源の保全に努めている」「リサイクルに力を入れている」など複数のイメージにおいて投票率1位となっており、これが総合トップという評価につながった。消費者の、自然に負荷をかけない、安全な食品づくりへの期待が高まっている中、アサヒビール6位、キリンビール10位、日本コカ・コーラ12位、サッポロビール15位と、他の飲料メーカー各社も高い順位を維持。
その中でもサントリーが高評価を得たのは、本業と結びついた環境活動を実施し、それを具体的に伝えるコミュニケーション戦略が奏功したことにある。
2005年に企業メッセージ「水と生きる」を掲げ、このメッセージを、テレビCMを中心にさまざまなチャネルで発信。メッセージが浸透した2006年以降は、ネットでの発信に注力した。
森や水をテーマにした映像作品や活動体験レポート、環境に関するクイズなどさまざまな切り口のコンテンツを用意し、幅広い層に訴求した。
同調査で、企業の環境情報を入手した媒体や経路について聞いたところ、最も多かったのは「テレビCM」(14.3%)、次に多いのは「企業のホームページ」(4.4%)だった。
環境情報の発信メディアとしてのネットの比重は高まっている。また、サントリーによる調査でも、2006年~2010年にかけての5年間で、同社ウェブサイト全体の年間アクセス数が2倍に増える中、環境関連ページは約5倍とさらに大きく伸びた。今回の調査は、企業の環境コミュニケーションにおけるネット活用の重要性を示している。
企業の環境活動について消費者が評価する際のポイントは、エコカーや省エネ家電といった商品の環境性能・環境技術ではなく、環境活動の伝え方=環境コミュニケーションに移行してきているのではないだろうか。
※「環境ブランド指数」の算出方法
企業のブランド形成に影響する以下4つの指標を総合して算出される。
■「環境情報接触度」・・・回答者が当該企業の環境情報に触れた度合い
■「環境コミュニケーション指標」・・・環境報告書や各種メディアなど、環境情報の入手先を集計
■「環境イメージ指標」・・・環境面であてはまると思われるイメージを集計
■「環境評価指標」・・・環境活動への評価を集計
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