メディアやデバイスが多様化し、その影響力が分散化するなかで、企業の課題は生活者との接点づくりにある。安心感を求め、消費の原点回帰、一極集中の傾向もみられるなど、接点を持てる生活者が重要顧客へと絞られつつある傾向もでている。新しい接点がつくりづらい状況に、ソーシャルメディアやテクノロジーの進化をどう生かせるかが、2012年のテーマと予測する。
テクノロジーの進化は、コミュニケーションにおける労力とコストを大幅に削減してくれた。人的営業の代替、補完となるWEBサイト活用に始まり、ソーシャルメディアが浸透したこれからは、リアルの場でも実現が難しかった、生活者一人ひとりと向き合い関係性をつくるコミュニケーションも可能になる。引き続き「ソーシャルリスニング」も注目されるが、レピュテーションマネジメントだけでなく、これまで気づくことができなかった顧客以外の支援者を見つけ、さらに向き合い、声をかけ、働きかけ、顧客へと育てていく。そんな新しい関係づくりの事例がでてくるだろう。従来のCRM活動にソーシャルリスニングやソーシャル上でのコミュニケーション活動を組み合わせ、より顧客を深く知る、さらにファンを顧客へと育成する「ソーシャルCRM」も注目される。
以前から「マーケットイン」のものづくりを標榜する企業は多かった。それが可能になったのが現代だ。商品開発、コミュニケーションのみならず、生活者の声、顧客データベースが、血液のように社内を循環する企業経営…。マーケティングの領域を超えた部門間連携がますます重要になる。以前から言われてきたIMCに再度の注目が集まるだろう。
従来のIMCは企業が発信するメッセージの統合性に主軸が置かれていた。しかし、これからのIMCは顧客の声、統合した顧客データベースをもとにした社内横断の活動となっていくはず。IMCの実践も、その視座が企業から生活者へと変わっていくと予測する。テクノロジーを武器に企業と生活者、生活者と生活者の間に、いかに心触れあうコミュニケーションをつくり、そこから関係性を築いていけるか。
2012年はコミュニケーションのデザインから、関係性のデザインへとマーケティング・コミュニケーション部門に求められる役割が変わっていくのではないだろうか。
「宣伝会議」編集長 谷口 優
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