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省エネ・照明デザインアワード発表。節電対応で進むオフィスビルのLED照明化

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9.01%。これは2011年12月の都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)のオフィスビルの空室率だ。2007年前半には2%台だったのと比べると、不動産市場の冷え込みが感じられる。リーマンショック以降の景気低迷で、都内の一等地でも大型オフィスビルを満室にさせるのは簡単ではなくなった。

そんななか、竣工前に満室になったビルがある。千代田区霞が関の飯野ビルディングだ。東日本大震災の影響がさまざまな分野に及ぶなか、飯野ビルは、2011年10月開業予定のところ、4月までにテナントが満室になっていた(オフィス賃貸可能床面積は21フロアで約5万㎡)。地下鉄「内幸町駅」に地下通路でつながり、将来は「霞ケ関駅」とも直結する予定。徒歩10分圏内に5駅12路線という、都内でも最高レベルのアクセスのよさだ。

高い省エネ性能がテナントに魅力

加えて、優れた省エネ性能も魅力となっている。建物の外装をガラスで2重化した奥行き80cmのダブルスキンは、空調のエネルギー消費を大幅に抑える。2重の窓ガラスの間に設置された電動ブラインドが日射を遮り、ダブルスキン内の暖まった空気が対流を生み、上から排出される仕組みだから、動力も不要。賃貸ビルでは容積率を高めることが優先されるため、奥行きのあるダブルスキンは珍しく、省エネへのこだわりがうかがえる。

驚くのは、ビル運用段階における1㎡あたりの年間エネルギー消費量だ。飯野ビルは932MJ(メガジュール)/㎡・年で、同規模のビルの相場1900MJの半分以下となっている。省エネ法の対象企業にとっては、この省エネ性が大きな魅力となっているようだ。

高い意匠性と省エネを実現した省エネ照明

省エネに大きく貢献するのが照明だ。自然光を取り入れたリフレッシュコーナーなど、魅力的な空間づくりはもちろん、オフィスフロアの照明約1万5000台はすべてLED照明になっている。LED特有のグレア(ぎらつき)を感じさせない、自然光に近い照明になるように、電球や器具のデザインにも配慮が行き届いているという。試算では、蛍光灯に比べて約半分の消費エネルギーで済むという。

こうした取組みが高く評価され、飯野ビルはこのほど「省エネ・照明デザインアワード2011」(環境省)でグランプリを受賞した。東京電力福島第一原発の事故で、オフィスビルには今年も節電が求められる。デザイン性が高まるとともに、ぎらつきを抑えるなどの性能の向上、低価格化に後押しされ、省エネ性の高いLED照明への移行が加速しそうだ。

グランプリを受賞したビル

①公共施設・総合施設部門
『高い省エネ性と用途毎に使い分けた照明設計 大規模複合テナントビルの革新例』
【施設名】飯野ビルディング
【所在地】東京都千代田区
【事業者】飯野海運株式会社
②商業・宿泊施設部門
『自然の光をイメージし、優しく気持ちの良い環境の創造を図った大規模ショッピングエリア』
【施設名】二子玉川ライズ・ショッピングセンター
【所在地】東京都世田谷区
【事業者】東京急行電鉄株式会社、東急不動産株式会社
③まち、地区、その他施設部門
『デザイン性と実用性を両立させた外構照明と居住空間の CO2の「見える化」を融合したエリアづくり』
【施設名】パークシティ柏の葉キャンパス二番街 コモン
【所在地】千葉県柏市
【事業者】三井不動産レジデンシャル株式会社


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