※本記事は3/2掲載の「首都直下型大震災に備える(2)」の続きです。
古い中小規模ビルが混在する東口では被害拡大の恐れ
午後は、東京都健康プラザ・ハイジアと新宿ファーストウエストの2会場で、重軽傷様々な負傷者を、優先順位をつけて対処する「トリアージ」の訓練が行われた。大規模複合災害では、医師や看護師などの手が回らないことが多く、その場に居合わせた人で、重軽傷者を的確に判断して対応しなければならない。
東京都健康プラザ・ハイジアでは、半倒壊した暗い建物の中に、約20人の負傷者が倒れている想定でトリアージの訓練が行われた。
照明が消えて視界が悪いなか、あちこちに倒れている負傷者を見つけて、重傷から軽傷まで、4段階に負傷者を分類する。重篤なため最優先で治療が必要な患者は「赤」、治療が必要だが待機可能は「黄」、軽傷は「緑」、救命の可能性がない場合は「黒」の4色のタグが腕に取りつけられる。エレベーターは動かない設定で、救命の可能性が高い重傷者から順に、6人一組で地上4階から階段で、担架やブルーシートに乗せた負傷者を搬送する訓練も行われた。
片足切断や臓器損傷、複雑骨折や頭部からの激しい出血など、けがの特殊メークを施された重軽傷者が、次々に担架や徒歩で救護所のロビーへ運ばれてくると、大久保病院から駆けつけた医師や看護師らが診断や手当を行った。医師らは「お話しできますか」などと呼びかけながら、患者1人当たり1分ほどで意識や傷などを確認していく。「痛い」「助けて」「先に診てほしい」などと声を荒らげる負傷者を落ち着かせて、冷静に対処する訓練も行われた。
訓練を終えて、負傷者役の人からは、「すぐ戻ってきますから安心してください」などと声をかけてもらえることで、不安が和らぐなどの感想が聞かれた。首都直下型大震災が起きれば、雑居ビル密集エリアでは実際にこのような事態が起きる可能性がある。1人でも多くの人がこうした訓練に参加し、備える必要があるだろう。
【バックナンバー】首都直下型大震災に備える(2)
【バックナンバー】首都直下型大震災に備える(1)
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