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コラム

i(アイ)トレンド

ソーシャルメディアは何に効くのか?アドビのリサーチをベースに考えてみた。

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ソーシャルメディアが購買に与える影響とは

Webや広告関連の情報を集めたブログサイト「インターネット広告のひみつ」に気になる記事が掲載されていた。「ソーシャルメディアはファーストクリックで評価すべき」という記事である。

この記事はAdobe Digital Indexが3月に発表したレポート“Why marketers aren’t giving social the credit it deserves”を解説したもので、米国の225社を超える小売、旅行、およびメディア産業企業のWebサイトへの17億回を超える訪問を分析したということである。結果として、ソーシャルメディアにおいては、ラストクリック(消費者が購入を行う直前のメディア)よりも、ファーストクリック(消費者が最初に接触したメディア)に価値があるとしている。 それは右の図にある、訪問者あたりのファーストクリック、ラストクリックにおけるそれぞれの期待売り上げを比べたところ、約2倍の差があったという点にフォーカスした結果となっている。

確かに、筆者の経験からしてもソーシャルメディアは「私が経験したこの商品はすごくいいのでぜひ使ってみてください」という用途に向いているように思える。これはいくつかの、従来のマーケティングの概念を変えるものなのかもしれない。

トライアルのきっかけに

その一つとしては例えば「フリクエンシー(頻度)」の考え方がある。広告の設計するために、リーチ(到達範囲)とフリクエンシー(到達頻度)が利用され、接触の頻度が多ければ購入に結びつきやすいとされる。それに対してソーシャル広告においてはその発信者のパワーいかんでフリクエンシー(接触回数)が1でも接触さえすれば必ず購入に結びつけることができる影響力のある人間がいるということである。極端な例ではあるが、例えば学校の先生が授業で利用する教材などがその典型であろう。すなわち課題の必須教材があれば、生徒はいやおう無くその教材を購入、あるいは貸借して消費することになる。ソーシャルの時代には、先生ほどの強制力は無くても消費者の信頼を勝ち取っている人物の存在、佐々木俊尚氏のいうところのキュレーター、つまりある分野における情報に関して信頼がおける人間の発信する情報はどんなメディアよりも強いのではないかと思うのである。

筆者の経験則では上記と逆説的ではあるが、フリクエンシーがものを言うケースもある。それは噂が噂を呼ぶというケースであり、例えば多数の自分が知らない消費者が良いコメントをしている場合である。このような効果は、例えばサンプリングを実施した場合で、それを試した消費者が稼動してソーシャルにその体験を広めた場合に顕著に現れると筆者は考えているがいかがであろうか。インターネット上、特にソーシャルメディアで話題になっている製品を買ってみたことは無いだろうか?

ではソーシャルメディアはいったい何に効くのであろうか?上記の検証および、経験より筆者は「トライアルに効く」のではないかと思うのである。信頼する人が薦めること、あるいは不特定多数の人が良い評価をすることあるいは各メディアの露出との組み合わせによって「ためしてみよう」という気持ちを引き出すことが」できるのではないかと考える。この視点を持って、研究をすればソーシャルの有意性がもっとも検証できるのではないかと考えている。

江端浩人「i(アイ)トレンド」バックナンバー

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