佐々木康晴の「CANNES LIONS 2012」レポート(1)

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カンヌ熱にかかりましょう。

佐々木 康晴(電通アメリカ エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター)

カンヌ!カンヌ!という声がした。バルセロナ発ローマ行きの夜行列車の狭いクシェット(簡易寝台)から、手を伸ばしてカーテンを開けると、まぶしい朝のカンヌ駅だった。ここがあの映画祭のカンヌか!一生の記念によーく見ておこう、と目をこすりながら思ったのが、学生貧乏旅行をした約20年前。まさかそのカンヌに、その後10回近くも通う人生がやってくるとは、思っていませんでした。
 
みなさまごぶさたしております、または初めまして。佐々木康晴です。今回、カンヌの現地報告を担当させていただきます。思い出話から始まってしまいましたが、カンヌ経験をちょっと多めにさせてもらえた自分から見ると、今回のカンヌはずいぶん今までと違う気がします。

以前のカンヌで、僕がいちばん大事にしていた体験は、とにかくたくさんの広告をシャワーのように浴びること。ダメな広告やカッコつけすぎの広告へのブーイングにドキドキして、「これはやられた!」という広告にゾワゾワと鳥肌が立つのを感じ、会場のキツイ冷房にもやられて、なんだかぼーっと熱病にかかったようになる。すると半年くらい、スーパーマリオの無敵状態みたいになって、いろんなシガラミとかを恐れず、「すごいアイデアを出すぞっ!」とがんばれる(でも半年たつと無敵が終わっちゃって、また元のヘタレに戻る)、そんな感じでした。

しかし今回はずいぶん違う。去年とも違う。初日からすべてのセミナーが満員で、うかうかしてると入れない。でも、CMのスクリーニングは人が少なくてブーイングもおとなしい。みんなの力の入れ方が違う。客層も違う。韓国や中国の方々もたくさん。今までみたいに僕が熱病にかかるために、どこに行けばいいんだろう…。

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TechTalkの様子。みんなゴロゴロしながら楽しく聞いてます。

会場をさまよい、たまたまたどり着いたのが、今年から始まったTechTalkでした。コミュニケーション業界の人が知っておくべきテクノロジーを紹介するセッション。Creative Realities社のPaulさんの回では、コミュニケーションを変えるかもしれないいろんな技術をぶちまけて見せてくれました。どのスマートフォンよりも速い1個25ドルの小型デバイス。ミリ単位で位置情報が取れるチップ。「なんだ技術の話か」って立ち去らないでください。こういう技術のどれもが、新しいメディアに化けるかもしれない。僕らがそれを考えて作っていいんですってば。楽しくないですか?今すでにあるSNSの上でアプリを作るとか、それだけじゃつまらないです。せっかくクリエイティブの仕事をしているんだから、もっと新しい表現のやり方を考えたいですよね。

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夜のカンヌ。ほてった頭を、ワインと生ガキで冷ましましょう。

よかった、僕は今年もうまく熱病にかかれそうです。こういうセッションをカンヌでやってくれてありがとう、と思います。たまたまふらっと通ったクリエイティブの若者が、こういうのを見て刺激されて、次の表現プラットフォームをつくることになるとしたら、うれしいなあ。誰も作んないなら自分で作っちゃおうかなあ。そんな妄想を抱きつつ、今夜も飲みましょう!ロゼワインを!

続きの【佐々木康晴の「CANNES LIONS 2012」レポート(2)】はこちら

佐々木 康晴(電通アメリカ エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター)
1971年生まれ。電通入社後コピーライター、インタラクティブ・ディレクターを経て、2011年9月より電通アメリカ出向、エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター。手がけたキャンペーンに、ユニクロ「UNIQLO LUCKY LINE」、Honda「ケートラ」、集英社「ワンピース感謝広告」など。2011年クリエイター・オブ・ザ・イヤー・メダリスト受賞。


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