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コラム

伊藤洋介の「こうすればよかったんだぁ」

勇気を振り絞って苦言を呈する

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はじめまして。伊藤洋介と言います。
ちょっと自己紹介。

大学卒業後、今は亡き山一證券に入社。世の中まさにバブル真っ只中で、調子こいた結果、サラリーマンしながら「シャインズ」というユニット名で歌手デビュー。リリースした「私の彼はサラリーマン」はちょっと売れました。その後、諸事情により某お菓子会社に転職し、丸17年間宣伝部でCM制作に従事。その間も、「東京プリン」なる新ユニットを結成し性懲りもなく歌いながら、所謂「二足のワラジ」暮らしを営んでいたんですが、3年ほど前に退社。現在は執筆・作詞業など諸々で生計を立てております。

今回は、宣伝部在籍当時に取材で知り合った宣伝会議篠崎氏より、「何か、書きませんか」との問い合わせを受け、「じゃあ、書いてみようかな」と快諾させてもらった次第。

内容については熟考を重ねた結果、広告の仕事を離れてずいぶんと時間だけは経過しながらも、大好きなテレビは見るわけで、そうするとやっぱり思う所が色々出てくるんです。
相変わらず、番組よりもついついCMに見入ちゃってますんで。

そこで、付けてみたタイトルが「こうすればよかったんだあ…」。

CM制作現場の渦中にいたからこそ、見えなかったこと、気がつかなかったことが、改めて明らかになって、早い話、後悔してるわけです。その辺りを関係各位にご迷惑のかからない程度に綴ってみようかなと…

と前置きはこれぐらいにして…。

会社に行かなくなって、圧倒的にテレビを見る機会が増えています。結果、何度も同じCMを見るようになりました。

で、強く思うのが、やっぱり流れる量によって、アプローチの仕方は変えるべきだなってことです。

何度か見るうちに印象って変わるんですよね。「なるほどね」と5、6回見た後にその内容をようやく理解できるものもあるし、一方で、あまりにインパクトが強すぎて見るうちに「もう、わかったから」って嫌気がさすものもある。

考えてみれば、プランナーや演出家で、GRPについて深く理解している方はそんなにいない気がします。

オリエンでは明確に提示されているとは思いますが、例えば1000GRPと言われて、その数字を正しく実感できる人が彼らの中に果たしているかどうか。

コンテを考える時だって、クライアントが訴求したいことをいかにして伝えるかばかりが念頭にあって、出稿量なんて頭の片隅にもないと思います。

編集時も、MAの時も幾度と無く画面に見入って確認を繰り返しますが、その際「何回くらい見られることになるのか」なんて基準は誰も持っていません。皆、一回みて「この商品、買いたいなあ」と思ってくれることを目指しているはずです。

では、このGRPの違いによる表現方法の管理を誰がするかってことですが、これはやっぱりクライアントしかいない。クリエイターの人達にそれを課すのは、あまりに酷です。彼らにはやっぱり、言いたいことをどうすれば伝わるかってことに注力してもらわないと。

クライアントの皆さん、僕にも経験がありますけど、編集室で「これ、おもしろいね」なんてスタッフ一同盛り上がってるところで、一言苦言を呈するのってなかなか度胸のいるものです。でも勇気を振り絞って言ってください。「これ、おもしろすぎませんか?」って。