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伊藤穣一氏ら登壇「メディアが未来にできること」

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6月3日、朝日新聞社は東京ミッドタウンホールにて、MIT(マサチューセッツ工科大学)メディアラボと共催で、テクノロジーの進化とともに変化するメディアの未来を探るシンポジウム「メディアが未来にできること」を開催した。

MITシビック・メディアセンター・ディレクターのイーサン・ザッカーマン氏による基調講演「ソーシャルメディアが社会に与えるインパクト」、MITメディアラボ所長の伊藤穣一氏によるミニプレゼンテーション他、伊藤氏、ロイ・シーコフ氏(ザ・ハフィントン・ポスト・ライブ代表)、山田亜紀子氏(朝日新聞社報道局ソーシャルメディアエディター)が登壇、西村陽一氏(朝日新聞社デジタル事業本部長)がコーディネーターを務めたパネルディスカッション「メディアが未来にできること」が行われた。

パネルディスカッションでは、テクノロジーの進化、浸透が誰もが情報発信できる機会を増やし、それによって既存のメディアのあり方を含む、メディア全体の環境がどう変化していくのかをテーマに議論がなされた。

伊藤氏は「テクノロジーの進化は、テクノロジーの民主化を推進した。安価で手軽に使えるテクノロジーを利用し、一般の人たちがソフトもハードも自らの手でつくれるようになっている。従来、一般の人たちの力の増大はマスメディア企業の危機としてとらえられていたが、今はメディアだけでなくマスを対象としたビジネスをする製造業も危機感を抱いている。誰もが生産者になる時代に何が起きるのか。その変化の過渡期にある今は、とてもエキサイティングと言える」と話した。

一方で「日本でもネット選挙が解禁されたことを受け、政治家自身がメディアの力を経ずに有権者に向けて情報を発信でき、また有権者が直接、質問もできる環境において、マスメディアの役割は何か」との問いに対し、ロイ・シーコフ氏は「米国でも直接、国民に発信ができるからこそ、そこで発信される内容に関する、第三者のメディアが検証する役割が増す。メディアによるファクトチェックの機能は、より重要になっている」と回答。朝日新聞社の山田氏も、「過去の候補者の言動や行動を踏まえて、本当にその候補者が発信している内容が正しいのか、過去からの蓄積を含め、継続的に取材をし、事実を検証できるのが組織力を持ったメディアだからできること」と話した。

米国ニューヨーク・タイムズの社外取締役も務める伊藤氏も「SNSが浸透し、一般の人が発信できる情報も増えているが、国の重要機関への取材や危険な国・地域での取材など、メディアが多額の投資をし、プロのジャーナリストを投じて、組織力をもってあたらないと得られないニュースもある」と話し、変わりつつある時代の中でもマスメディアの役割があることにも言及。本イベントでは、参加者のSNSでの発信、質問を積極的に促していたため、最後はツイッターで寄せられた参加者の質問に答えるなどして、終了した。

朝日新聞社では、約180のツイッターアカウントがあるが、本日のセミナーもネット中継とツイッターによる実況中継を取り入れるなど、新たな情報発信のテクノロジーを取り入れたイベントとなった。