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社会のためになる消費(3)自然と人をつなぐ新しい消費のあり方

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生産者を支援しながら交流を楽しむ世界的トレンド

そんな林さんが次に見据えるエシカル消費のキーワードはCSA(Community Supported Agriculture)だ。

「クラウド・ファンディングや、トラスト運動の高まりもそうですが、みんながつながり、大切なものを守り支える新しい仕組みが、日本でも今後より増えるのでは。エシカル消費も自然とつながり、人とつながり、大切と思うものを守り支える意識行動の1つともいえます」(林さん)

CSAとは、消費者が収穫物の代金を先払いすることで地域の有機農家を支える仕組みで、北米(CSA North America)やフランスのAMAP(Association pour le maintien d’une Agriculture paysanne)では、それぞれ1000以上のグループがある。イタリアから始まって世界150カ国、1300以上の支部に広がっているスローフード運動もそうした動きの一つといえる。

実は、この仕組みは元々日本有機農業研究会が30年ほど前に始めた「生産者と消費者の提携」で、それを視察した欧米人たちが広めてきたものだという。契約のかたちは多少違いがあるが、消費者が数カ月~1年分の代金を前払いし、生産者から収穫物を受け取るという仕組みで、農繁期には消費者が生産者のお手伝いに行って一緒に新鮮な素材を使った料理を楽しんだりする交流イベントも行っている。

また、気象条件などの影響によって出来不出来があっても支払う金額は変わらないなど、生産者を支える仕組みになっている。「日本から始まったものが、いったん海外のフィルターを通って逆輸入され、また新しいかたちで広まっていくのではないか」と林さんは言う。

たとえば、ここ数年、菜園付きの不動産物件の人気がじわじわと高まり、また、最近では地元の農産物生産者と契約するリゾートホテルやレストランも増えてきている。林さんが関わっている、タイで動き始めた、海外ロングステイの日本人向けエコ・ヴィレッジ・プロジェクトでは、新鮮で安全な農産物、地域の人たちとの交流を楽しみながら、かつ、地元の有機農家の支援にもつながるCSAシステムを導入予定だ。

社会のためになる消費(4)自然と人をつなぐ新しい消費のあり方に続く。


【「社会のためになる消費」バックナンバー】

はやし たみこ
林 民子(はやし・たみこ)
外資系出版社、インポートブランドの広報などを経て、2007年1月、社会貢献活動のPR& マーケティングに特化したNPO法人「ソーシャル コンシェルジュ」を設立。2008年秋には、フェアトレードのニット・ブランド「SHOKAY( ショーケイ)」を日本にローンチ、代表を務める。里山生活の知恵と文明の利器をバランス良く融合した、日本流パーマカルチャーを実践する四井先生のくらし方に触れ、畑作りや手仕事の楽しさを体験する年間プログラムを通じて、災害に強い、豊かでクリエイティブな暮らしのあり方を学ぶFood Forest Club 八ヶ岳プロジェクトを毎月開催する。
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