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コラム

CSR視点で広報を考える

再び危険視される地震による津波被害

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東日本大震災の被災要因

前述のケーシーエスは、東日本の経済被害についても調査している。約1300の被災事業所情報から産業分類ごとに調査した結果、被災を受けた全エリアの損害のうち、岩手県、宮城県、福島県の3県で全体の約5割を占めていることを確認している。

地震動による被害事業所は全体の約8割であり、津波の直接被害に匹敵するリスクとしてサプライチェーンの被災に伴う「原材料調達の困難(燃料不足も含む)」を指摘している。

また、生産回復までの所用日数では、飲食料品産業や輸送機械産業で長期化し、3カ月で6~7割、6カ月後でも全面回復に至らなかった事例もある。

「浸水深」の重要性

東日本大震災以降、「津波高」や「遡上高」などの言葉が急増した。聞き慣れていない言葉も多数出てきており、まずは定義をおさえておくことが重要である。

東日本大震災については、気象庁、東電などのほか、東京大地震研究所なども調査を実施しているが、現在、確認されているものでは、「津波高」で富岡町の21.1mが、また「遡上高」で女川(笠貝島)の43.3mが最大とされている。「津波高」は、これまで1896年の「明治三陸津波」で岩手県大船渡市に残る38.2m が最高値であったが、これを大きく上回る記録となった。

2012年に開催された「南海トラフの巨大地震モデル検討会」(内閣府)では、M9クラスの巨大地震が発生した場合の「津波高」想定を行い、紀伊半島から関東沿岸にかけて多数の箇所で20m~25mの「津波高」の可能性が指摘されている。そして今、最も重要視されているのが「浸水深」だ。それは、今、自身が所在している場所においてどのくらいの深さの津波が押し寄せるかを知る数値であるからだ。

気象庁では、陸地における「浸水深」の家屋への影響を以下のように説明している。

これによれば、一応の目安としているものの、木造家屋はわずか2mで全面破壊、コンクリートビルにおいても20m前後の津波がくれば大きな被害が及ぶことを意味している。沿岸部分においては、浸水深の大きさによっては必ずしも鉄筋コンクリートビルの中へ逃げても決して安全ではないことを認識しなければならない。


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