「おい、抜かれたぞ」が怖い
記者にとっての「恐怖の時間帯」ってご存じですか。
深夜の午前2時から午前3時です。ライバルの新聞社(たとえば日経新聞)が、数時間後に配る朝刊に書いてある記事の情報が入ってくるのです。朝日新聞が知らないニュース(「A社とB社が合併へ」)が1面などに載っていると、上司から電話でたたき起こされます。
「おい、抜かれたぞ」。
情報が本当かどうかを調べる「追っかけ」取材に入ります。重要なニュースであればあるほど、朝日新聞としても早く記事にしないといけないからです。眠さと、悔しさと、締め切りに記事が間に合うかどうかの不安が交錯します。

ジップロックに入れた携帯電話やメモ帳を久しぶりに再現した。宮崎県に赴任していた新人記者の頃、携帯が鳴り続けるのが嫌で、ほかの新聞社の記者と、「ケイタイを大淀川に投げよう!」と酔った勢いで叫んだことがある。
恐怖の時間帯以外も、夕方や夜のテレビニュースで自社の知らない情報が流れると、本社からすぐ携帯がかかってきます。
私は記者時代、風呂に入るときは、ジップロックに携帯電話とメモ帳を入れて、湯船につかっていました。
記者の仕事はこうした「ライバル」との熾烈な戦いなのですが、「あれ?」と思った読者もいらっしゃるのではないでしょうか――ライバルは新聞やテレビだけなの?
その通りです。競争相手といえば日経新聞や読売新聞、NHKなど既存の大手メディアばかり意識していました。
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竹下隆一郎(朝日新聞メディアラボ)
1979年生まれ。幼少期から米国東部コネチカット州やニューメキシコ州に滞在。成蹊高校、慶応義塾大学法学部卒業。2002年朝日新聞社入社。宮崎、北九州、博多などの勤務を経て、経済部記者としてユニクロなど流通企業取材、金融庁などの経済政策取材を担当。同社の「ツイッター記者」として、記事の裏話なども積極的に発信してきた。2012年12月の衆議院選挙では、日本の大手メディアで初めて、ツイッターを使った選挙の世論観測を実施し、ウエブや紙で報じた。2013年9月から朝日新聞の社内ベンチャー部署「メディアラボ」。
ツイッター @ryuichirot
メディアラボ フェイスブック https://www.facebook.com/AsahiMediaLab
1979年生まれ。幼少期から米国東部コネチカット州やニューメキシコ州に滞在。成蹊高校、慶応義塾大学法学部卒業。2002年朝日新聞社入社。宮崎、北九州、博多などの勤務を経て、経済部記者としてユニクロなど流通企業取材、金融庁などの経済政策取材を担当。同社の「ツイッター記者」として、記事の裏話なども積極的に発信してきた。2012年12月の衆議院選挙では、日本の大手メディアで初めて、ツイッターを使った選挙の世論観測を実施し、ウエブや紙で報じた。2013年9月から朝日新聞の社内ベンチャー部署「メディアラボ」。
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