コラム

山本一郎と燃ゆるICT界隈

ウェアラブルデバイスが流行なのは分かるけど、ノリだけで風呂敷広げるのはやめて欲しいでござるの巻

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ところが、日本発のハードウェアベンチャーというのは、製造業や医療業界のオリジンとは隔絶したところに活路を見つけたふりをして、現段階では億単位程度のはした金では実現できないことをさも可能であるかのように喧伝して、「ウェアラブルデバイス元年」とか言ってる馬鹿は本当に滅亡して欲しいと思うわけです。

 日本発の指輪型ウェアラブルデバイス「Ring」がすごい!
 こっちが本命かも? 「テレパシー」という名のメガネ型デバイス登場

まあ、テレパシーの場合は創業者でカリスマの井口尊仁さんも「無茶苦茶困難」と言っておるわけなんですが。

[引用]
もちろんここから製品発売までのステップも常識を超えた、恐ろしい挑戦が前提です。でも、それが滅茶苦茶困難だからこそやるのだ!

いやね、ソフトウェアの世界であれば、ハードウェアの限界まで能力を引き出すために優秀な人員を突っ込めば実現できることは大きいかもしれない。人の情熱や思念というものが果たす役割は大きい。

ただ、ハードウェアというのはそういうもんじゃありません。何をするべきデバイスかを定義し、そこから要件を固め、実装するために設計し、プロトタイプを作り量産工程に乗せる必要がある。そこで起こした問題をフィードバックし、次回に改善を図るというサイクルを地道に繰り返さなければ、ハードルは乗り越えられません。

たぶん、ソフトウェア的な発想でハードの仕事に突撃したから、製造業の世界では当たり前にやるべき試行錯誤をショートカットして、完成形ありきのプレゼンをしてしまっているのでしょう。

ウェアラブルデバイスではないけれど、ハードウェアの世界の難しさを体現したのは、ユビキタスエンターテイメント(UEI)の清水亮さんの『Enchant Moon』でした。

We choose to go to the enchant MOON

確かに挑戦としては素晴らしいし、どんどんやっていって欲しいと思うんですよね。清水さんの挑戦の場合は、製造業の世界ではロットが小さすぎて、これで次回作のサイクルを回すための原資をつぎ込み続けないとハードウェアとしての完成度を高めるための試行錯誤まで辿り着けないという「踏み出した者のジレンマ」はあったのでしょう。

しかし、「テレパシー」や「リング」についてはそれ以前の問題で、そのコンセプトはまず何なの、そしてそれを成立させるための要件は何なの、そしてハードに落とし込むための機構はどういったもので、それは利用に足る条件を満たしているの、というところがまったくお粗末なので問題なのですよ。

ここがクリアされる見通しが立たないうちに投資資金を集めてしまうのは、無謀だけど価値のある挑戦といえるのか、単なる風呂敷の拡がった詐欺案件なのかは見た者によって捉え方が違うのではないでしょうか。

テレパシーの投資依頼書を見ると、オリジナルの技術があるらしいんですけど、調べてみるとこれオリンパスの特許をどうやって迂回するのか良く分からんですね。

まあ… 一般論で言うならば、縄跳び100回できるか怪しい奴が「僕はヘビー級チャンピオンになります」と言われても「その前にやるべきことがあるだろう」ときちんと周辺の大人が言ってやるのも優しさだと思うんですけど、どうもこの手のベンチャーは宗教みたいな組織になっているようなので、難しいかもしれませんね。

こういう果てしない冒険をしたい会社は、ぜひミクシィの門を叩くとよいと思います。

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