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「本音で相手に話してもらえない」インタビュアーが陥りがちな落とし穴

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この記事は、インタビュー実践講座の開講に合わせて掲載します。本講座は、事前準備から、相手が話しやすい場のつくり方まで、情報を引き出すためのノウハウを、インタビューのプロから実践形式で学んでいきます。ここでは講師の一人、ジャーナリストの横田由美子氏が、相手との距離を近づけるために、実は見落としがちなポイントを紹介します。

横田由美子(ジャーナリスト)

人から話を聞くのが、私の仕事です。

20年近くもの間ライターとして、さまざまな職業の人に会い、彼ら(彼女ら)から言葉を引き出す作業をしてきました。しかし、そんな私でも、幾度となく「声が聴こえない」という壁にぶつかってきました。

取材対象から通りいっぺんの話しか聞き取れなければ、記事にはなりません。限られた時間でその場に溶け込み、相手の共感を得ることができなければ、独自の情報(=話)を聞くことも、面白い記事を書くこともできないのです。

こうした体験は、ライター以外の職業にもあてはめて考えることができるのではないでしょうか。

振り返ってみれば、私が「相手の声が聴こえなくなる時」には、必ず原因がありました。それは年代によって変わっていくのです。20代、30代、そして40代の今、私がインタビューの場で抱える課題は異なります。

最初の大きなつまずきは、20代後半の頃だったように記憶しています。

仕事にもある程度慣れて、精神的にも少しだけ余裕が感じられるようになった途端、比較的トントン拍子に進んでいた取材が全く上手くいかなくなりました。今思えば、それまでの「必死さ」や「がむしゃらさ」がなくなり、「おごり」が出ていたのでしょう。少しばかり経験値が上がったからといって、生意気な態度で、仕事を始めた頃と変わらぬ「稚拙な質問」をぶつけていれば、相手の心を自分に惹きつけることなどできるはずもありません。

自分の「過ち」に気づかないまま、「何が悪いの?」「どうして上手くいかないの?」と自問自答する日が続きました。そんな時、インタビューで訪れた先で、初対面の女性の表情に、一瞬、「嫌悪」に近い感情が表れたことに気づいたのです。

帰り道、私は、鏡の前で改めて自分自身の姿を見て、がく然としました。そこにいたのは、ファッション雑誌にでも出てくるような、典型的なキャリア風の〝 お姉ちゃん 〟でした。恐らく、心の底では自覚していたのでしょう。足りない知識と経験を埋めるかのように、ハイブランドの時計やアクセサリーと高そうなワンピースで完全武装していました。

こういう20代の女性に、本音を話したいと感じるだろうか。

思い切ってすべての鎧を外し、足りない知識を埋めるために毎日、積極的に人と会うようにしました。自分の引き出しを増やすためです。少し時間はかかりましたが、その時の山は何とか越えることができました。

そんな私の体験を交えながら、皆さんにインタビューの実践について、お話できればと思っています。

ちなみに当時の反動が激しかったせいか、外見がそれほどネックにならない年齢になるにつれ、服装は以前にも増して派手になってしまいました。今では、単なる〝 派手なおばさん 〟です。


横田由美子

ジャーナリスト。青山学院大学在学中よりライター活動を本格化。主に政界、官界、女性をテーマにした記事を取材・執筆、講演している。著書に『ヒラリーをさがせ!』『官僚村生活白書』などがある。2014年2月、サイトリニューアルに合わせて、さくらフィナンシャルニュース(SFN)を設立。代表取締役社長/編集長に就任。

インタビュー実践講座

開講日 2014年3月17日
講義時間 19:00 ~ 21:30 (1コマ2時間30分)
定 員 30名
講義回数 全8回
開催場所 宣伝会議セミナールーム(東京・南青山)
受講価格 ¥ 98,000