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コラム

クリエイティブ・イノベーション・ファーム takram のアイデアの生み方と育て方

隣の人の“アイデアの発火”をトレースする方法 – Spark Shadowing(後編)

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産物と副産物 – Spark Shadowing の活用法

一つ留意点がある。「他人の思考を自らの中で再現しようとすること」は飽くまでプロセスの一部に過ぎない。Shadowing は通過点だ。

もとはブラックボックスだったロダンさんの思考を、自分の中で「P」と名付けたとしよう。ここで得られたPは、今後いつでも利用可能だ。a以外のインプットを入れれば、他のアイデアが出てくる。

aという刺激、もしくはインプットを得て、ロダンさんはPという思考法を使い、Aというアイデアを得た。おなじPにbという刺激を入れれば、異なるアイデアBが得られるはずだ。

でもここで思考を止めずに、Aというアイデアを別の角度から捉え直してみよう。Aを思いつくことができる、別の思考法も考えてみるのだ。一つのアイデアに辿り着くにも、複数通りの道筋があっていいはずだ。ロダンさんの思考の別の可能性を検討する。

同じアイデアAに辿り着くための、別の思考法を検討する。Qと名付けてみる。同じ刺激bを使っても、思考法が異なるので、結果はそれぞれBとB’といったように異なるものとなる

次はこのB’を得るための、Q以外の思考法が無いか考えてみよう。このように、無限に思考を広げていくことができる。

このプロセスを無限に繰り返すことができる。 得られるものは、結果としてのアイデアA, B, B’, C, C’…といった様々なバリエーションに富んだアイデアだ。副産物として、別のシーンでもいつでも活用可能な発想の作法、P, Q, R, S…をも同時に得る。

一度分かったと感じても、敢えて既知を未知化し、別の思考作法の可能性を検討し続ける。異なるリバースエンジニアリング、shadowingを繰り返すのだ。

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