視点をずらすと鉱脈が見つかる
——データは、今後どのようにクリエイティブを面白くするでしょうか。
東畑:データから“ある世界”が見えた時、次にそれをどう見せるかがクリエイティブの課題。掛け算によって「ロジックをマジックに変える」のが大事なんですよね。そこは最もデータ化しにくい部分で、個人の直感や掘り下げに委ねられている。根幹は戦略としてきちんと練らなくてはいけないですが、そこからジャンプする部分は、個人の発想にかかっているのが難しいところですね。
多賀谷:いま30代の僕らは、リミックス世代やパロディ世代です。すでに良いものが存在しすぎていて、音楽も先人たちが素晴らしい作品をつくっているし、コントもフォーマットができている。クラブであれば既存の楽曲をリミックスしていたり、お笑いなら過去のコントを利用してパロディにしていたりする。昨今のCMでも、リミックスやパロディがすごく多く見られます。僕らの世代は、膨大なデータをすでに持っているんです。なので、それを使って遊んだりしながら、予定調和を壊すようなことを僕はやりたいし、心がけています。僕がデータと向き合うとすれば、そうしたリミックス世代のクリエイティブの形になるのだろうと思います。
福田:データは人の営みを切り取るものだと思いますので、今後は何を買ったとか、何をクリックしたかではなくて、その顧客の何を切り取るか、ということ自体がクリエイティブになっていくのではないでしょうか。特にセンサー技術についてはどんどん進化していて、昨年発売された最新のXboxに搭載されたキネクトは表情や心拍さえも認識するそうです。そういった生体データも含め、ビッグデータがクリエイティブにどんな影響を与えるのかを想像すると非常に楽しみです。きっと広告だけでなくプロダクト開発にも及ぶでしょう。クリエイターという概念もすごく広がって、全員がクリエイターになっていくような気がしています。
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