データから、顧客の「実体」にどこまで迫れるか
――データをマーケティングに活用していくときに重要なことは何でしょうか。
神谷:すかいらーくでは「ガスト」「バーミヤン」「ジョナサン」など10ブランドがありますが、成果が出た施策を他ブランドで水平展開したからといって成功するとは限らないんです。
むしろ、一度の施策から得られたデータをよく検証し、ブランドごとに変えるべきところは変えるといったトライアルを重ねて初めて、効果的な施策につながっていくのだと思います。
全ブランドで国内に2967店舗ありますが、各店舗にもその旨をしっかりと伝えて共有していくことが大事だと考えています。
齋藤:そうですね。データ分析によって顧客の実体にどこまで迫れるか、というチャレンジを積み重ねていくことが重要です。
ジュピターテレコムで言えば、契約者本人だけでなく、その家族構成といった情報も把握できるようになると、さらにきめ細かな施策を実施することができます。
永田:小さなところから結果を出していくことも大事ですよね。例えばCRMというと大量のデータを扱い、きっちりとセグメンテーションして施策を推進していくという大がかりなイメージがあるかもしれません。
もちろんそういう面もありますが、例えば、ソーシャルメディア上には、自社ブランドに対する消費者の生の声という莫大なデータが集積されていますよね。この声を集めて、どんなふうに自社の商品やサービスが語られているのかを整理して社内で共有し続けることで、スタッフのマインドが変わるといった効果もあります。
――マーケターにとっては、データ分析自体を内製するのか、外注するのかというのも悩ましい課題ですよね。
神谷:すかいらーくの場合、分析の作業は基本的には内製しています。データをもとにマーケティング施策を改善していくというPDCAサイクルを高速で回転させ続けるには、内製しかないというのが今の考えです。
永田:内製か外注かというのは難しい問題ですね。店舗で接客するスタッフへの情報提供などについても、今は協力会社と一緒に最適な方法を考え実施しているところです。
齋藤:私は内製も外注も両方大事だと思いますね。データ活用を始めるときは外部の会社の協力を得ながらスタートし、それなりのクイックウインを達成した上で、それをドライバーとしてさらなるデータ活用を積み重ねていき、最終的には内製化していく。そういう方法もあるのではないかと考えています。
--企業としてデータ分析や人材にいかに投資していくか、その有効性を証明するのもマーケターのミッションとなっていますよね。これから、各社ではどんなことに取り組んでいかれますか。
永田:「データをどんな場面で活用するのか?」「データ活用の先に意味があるのか?」ということを常に意識しながら、現場の視点を取り入れることを忘れず、Gapジャパン全体でマーケティング施策の効果を上げていきたいですね。
神谷:今はビッグデータを活用するコストも人員も、小さな規模から実現できるようになりました。この変化は非常に大きいと思います。
顧客の嗜好や利用履歴などに応じて、ワン・トゥ・ワンでよりパーソナライズした付加価値を生み出しながら、さらにハッピーな体験を顧客に届けていければと思います。
齋藤:ジュピターテレコムのサービスブランドをもっと好きになってもらう施策を、ロイヤルカスタマーからライトユーザーまで、それぞれの顧客に対してこれまで以上にきめ細かに行っていきたいですね。
具体的には、あらゆる現象の“見える化”をさらに進められればなと。一例として、顧客から「契約を解約したい」という問い合わせがあったとき、オペレータの対応によって解約に至る確率が大きく変わることがあります。
こうした一つひとつのコミュニケーションも“見える化”するために、データを使った改善をしていきたいと考えています。
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