【前回のコラム】「「情熱がなければ、最後の最後に負けてしまうんです」 ――マイクロアド・渡辺健太郎社長に聞く」はこちら
変化が激しい環境に対応していく次世代の人材をどう育成していくかを聞く本連載。「自ら背中を見せる」ことで力強くグループをけん引する藤原社長に、急成長を支える同社の行動指針と育成方針を聞いた。
リーマン・ショックに背中を押された
——社長に就任した時の状況をお聞かせください。

藤原次彦(AOI Pro. 代表取締役社長 グループCEO)
44歳での社長就任は、当社の歴史からしても異例の人事です。当時すでに専務でしたので、いずれは経営を任されるとの心づもりはありましたが、想定より早く声がかかったというのが実感です。
これはリーマン・ショックが後押ししたと言えるでしょう。広告業界全体が打撃を受けたのは周知の通りで、当社も大きく売り上げを落としました。
一方で、テレビCMだけでなくWeb、さらにイベントやセールスプロモーション(SP)の複合提案を求められるなど、クライアントの要望が多様化していました。当然、現場にはフレキシブルな対応が要求されます。プロダクションのビジネスのあり方から見直していく必要がある、そんな中での社長就任でした。
——AOI Pro.の行動指針“AOISM(アオイズム)”は藤原社長が考えたものですね。
はい。2010年3月の社長交代発表後、4月1日の着任までの間に考えたものです。その後の全社ミーティングで発表しました。
「AOISM」7つのキーワード
1. 史上最強のイエスマン
2. ぶれまくれ!
3. スピードコミュニケーション
4. 絶対的実行力
5. 毎日がプレゼンテーション
6. 随所で主となれ!
7. Tension to Motivation
「史上最強のイエスマン」を続けて業績が急伸
僕のこれまでの経験の中で、意識してきたこと、実行し続けてきたことをまとめたものです。“借り物”の言葉は一つもありません。
例えば「史上最強のイエスマン」とは、「『ノー』と言わない」ことを意味します。僕は28歳でプロデューサーになってから現在に至るまで、クライアントからの様々な要望に対し、一度も「ノー」と言ったことはありません。もちろん、実現が難しい、あるいは不可能なことを言われることもあります。そのときは、要望を上回る、クライアントに満足してもらえそうな他の提案をするようにしていました。
