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【カンヌ受賞作品詳細】クリエイティブ・エフェクティブネス部門

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<ほか受賞作品>

*ARLA FOODS LURPAK/SVENSKT SMÖR(バター)「‘WEAVE YOUR MAGIC’: HOW LURPAK FOUND ITS GLOBAL VOICE」

(WIEDEN+KENNEDY/英国)

 
昨年のフィルム部門でシルバーを受賞した同テレビCMは、バターブランド「Lurpak」が初めて展開したグローバルキャンペーン。何の変哲もない食材を、特別なごちそうに変えてしまう料理という行為を“魔法”に例え、台所で繰り広げられるさまざまな魔法を一つのストーリーにまとめている。

食文化は国や地域によってさまざまに異なるものの、良い食事を作る楽しみは全世界共通のものであるというインサイトに基づいて制作されたCMにより、スウェーデンをはじめとする飽和市場と、オーストラリアをはじめとする新興市場の両方にアプローチすることを狙った。

キャンペーンの結果、オーストラリアでは、乳製品市場全体の販売額が3.8%増だったのに対し、Lurpakは26.5%増を達成。食通たちの間でのブランド認知は13%アップし、「質の高い食材を提供することに対する情熱」という競合他社との差別化ポイントを訴求することに成功した。

同CMは9カ月間で310万オーストラリアドルの利益を創出し、ROIは120%を達成した。

またスウェーデンでは20週にわたり前年同月比10%増の売上を達成し、ブランドイメージ調査では「質の高い食材を提供することに対する情熱」のポイントが12%向上。同期間中に2160万スウェーデン・クローネの利益を創出し、ROIは184%を達成した。
 

*エクスペディア「EXPEDIA – TRAVEL YOURSELF INTERESTING」

(OGILVY & MATHER ADVERTISING/英国)
 

1995年に米国で設立、98年には英国に進出し、市場を牽引してきたオンライン旅行会社 エクスぺディアだが、2012年以降は競争激化に伴う価格破壊が進み、収益減に苦しんできた。

そんな同社が展開した広告は、旅の広告の常識を打ち破るものだった。メッセージは「TRAVEL YOURSELF INTERESTING(旅はあなたを面白くする)」。パーティーやスポーツジム、オフィスとさまざまなシチュエーションを背景に描かれるのは、何やら楽しそうに語らうグループと、そこから孤立してしまっている人。

前者はよく旅をしている人で、後者はそうでない人、というわけだ。

旅というものは、それを経験したあなた自身を魅力的で面白い人間にしてくれる——旅の内容や目的地について触れることなく、旅がもたらしてくれる効果・価値を伝えている。

エクスペディアの予約数は英国で8%、フランスではなんと33%もアップし、ROMI(Return on Marketing Investment:マーケティング投資回収率)は、英国で1:11、フランスで1:6という結果に。

同社サイトへの直接アクセスを通じて行われた取引数は英国で3%、フランスで9%増加した。

*DEPAUL UK THE DEPAUL BOX COMPANY「DON’T RAISE MONEY, MAKE MONEY」

(ピュブリシス ロンドン/英国)
 

 
若いホームレスの支援団体であるDEPAUL UK。寄付だけに依存する従来の資金調達に限界を感じた同団体は、段ボール箱の製造販売会社 THE DEPAUL BOX COMPANYを設立した。

一時的な“ホームレス状態”の人、つまり引っ越しをする人に向けて段ボール箱を販売することで、対価を得ようというもの。

箱の側面には、段ボールの上で眠る人のイラストがプリントされており、その売上のすべてが、ホームレスの支援に役立てられることを伝えている。

営業を開始してから1年が経過した現在では、投資1ポンドあたり1.77ポンドのリターンを得られるようになり、若いホームレスのために319台のベッドを供給できるまでになった。

今後も営業を継続し、寄付に頼らずに支援活動を運営できるレベルを目指すという。

*ヴァージン・モバイル・オーストラリア「HOW BRAD PITT’S BRO’ HELPED VIRGIN MOBILE PUNCH ABOVE ITS WEIGHT」

(HAVAS WORLDWIDE/オーストラリア)

オーストラリアのモバイル市場は、Telstra、Optus、Vodafoneの3強がシェア・存在感・広告投下量とあらゆる面で圧倒的強さを見せている。そこでヴァージン・モバイルは、人々に「人は誰もが平等であるべき」という同社のメッセージに共感してもらうことを目的とした広告キャンペーンを展開した。

キャンペーンに起用したのは、世界的に有名なハリウッドスターであるブラッド・ピットの実弟 ダグ・ピットさん。

ブランドのスポークスパーソンとして、同社のテレビCMや、ニュース・情報番組に出演させ、ダグさんに(ブラッド・ピットと同じような)“スター気分”を味わってもらう–この一連のキャンペーンを通じて、ヴァージン・モバイル社が公平性を追求していること、また公平であることの素晴らしさを伝えようとした。

CMでは、世界的なセレブリティであるブラピと比べてあまりに普通すぎるダグさんの日常生活の様子が描かれている。

自分の部屋でヘッドフォンをつけて70年代のクラシックロックを聴くのが好きで、自ら台所に立ってラザニアを作ることも。スポーツやサイクリング、DIYや犬の散歩、庭の芝刈りに、お気に入りのマイカーの洗車・給油…。CMの最後のナレーションで、「お兄さんとは違って、彼はスーパースターではありません。でもヴァージン・モバイルは人類みな平等であると信じています。皆さんに、ピット家にささやかな公平性をもたらすためのお手伝いをしていただきたいんです。公式サイトにアクセスして、ダグさんに『いいね!』してください」と呼びかける。

キャンペーンの結果、口コミは1億6000万人にリーチ。新規契約者数は25%増、売上は22%増で過去最高益を記録し、マーケットシェアはなんと40%も増加したという。

≫次ページ 「ユニリーバ ダヴ「DOVE REAL BEAUTY SKETCHES」/マクドナルド オーストラリア「AUSTRALIA DAY」」に続く

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