ナカノシマ大学は、この島民の読者である知的好奇心の旺盛な人たちに向けて、講演会や対談などを開催するものだ。島民の編集に関わっていることから、こちらの企画や運営も私が主に担当している。もうすぐ丸5年、少なくとも月1回以上(多い月には3回も!)のペースで、すでに開催は70回を超えた。座学だけでなく、銀行のロビーで落語会、ウイスキーのテイスティング講座、楽器工房の見学会、船に乗って中之島を周遊、卸売市場で仕入れ体験、近代建築の見学会、しまいにはオフィスビルの屋上で盆踊りの練習会までやってしまった。
島民は紙メディアを通じた発信だが、ナカノシマ大学は言うなれば人々が集うリアルな場をつくることだ。トークの盛り上がりによって濃密になっていく場の空気を共有する面白さがあるし、誌面では伝わり切らない臨場感を味わってもらえる利点もある。
ふだんは企画書や取材原稿を書いている編集者にとって、こうした場を考えるのは楽しい。たぶん、読者(参加者)に向けて何かを伝えるという点において両者が共通するからだろう。テーマ選びはページや特集の企画そのものだし、誰に話して(書いて)もらうのかもそうだ。会場や演出に凝るのは、誌面レイアウトや写真の撮り方を考えることと似ている。実際、島民の取材をしながら、「この人にナカノシマ大学で話してもらいたい」「この場所で見学ツアーができたらええな」と思いつくことも多い。
ナカノシマ大学を続けることで、その内容を書籍化することにもつなげられている。島民&ナカノシマ大学生まれの本は、今のところ4冊。先述のキックオフセミナーを元にした『おせっかい教育論』(鷲田清一・内田樹・釈徹宗・平松邦夫)、連続講座をまとめた『大阪の神さん仏さん』(釈徹宗・髙島幸次)と『大阪古地図パラダイス』(本渡章)、島民での連載をまとめた『ブラック・ジャックは遠かった』(久坂部羊)である。
本が出ればそれをネタにまたイベントができる。街の書店と連動してフェアをやれる。当然、それを島民にネタとして書ける。著者の講演会にくっついて出張販売ができる。そこでいろいろなネットワークを築くこともできる。はたまた、島民の編集会議そのものをイベントにして、読者と共に特集タイトルを考えたこともあった(実際にそこで出た案を誌面化した)。
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講師陣は、総合誌、週刊誌、ビジネス誌、ファッション誌、Webメディアなどさまざまな分野の現役編集長や、第一線で活躍中のライター・ジャーナリスト・作家など。多くの課題添削、実践トレーニングを通じて、現場で活躍できる編集者、ライターを養成します。 「編集・ライター養成講座 大阪教室は11月29日より開講」
「編集会議コラム〜コンテンツの裏側潜入!〜」バックナンバー
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