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コラム

CSR視点で広報を考える

デング熱ほか感染症への正しい理解、上陸時の適切な対処を

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正しい知識と対処が感染症予防につながる

感染症対策では個別の防疫対応が必要であり、正しい知識を背景とした適切な対処が感染症予防につながる。しかしながら、一方で、現場での情報混乱や事態の評価・分析が適切に処理されないことから、噂や憶測が外部まで流出し、さらに状況を混迷させる事態が発生する。

今回のエボラ出血熱においても、医療施設内での衛生環境の悪化や医療関係者の感染が相次ぎ、「空気感染」や「飛沫感染」などのデマや噂が蔓延し(実際は、「接触感染」に限定される)、医療現場内にもパニックが発生した。さらに、現場住民との間で医療関係者が意思の疎通が図れないことも危機管理の局面を揺るがす事態となった。ギニアでは、「エボラ出血熱を拡散しているのは赤十字だ!」として抗議する住民と治安部隊が衝突する事例も発生している。

感染症対策では、「病原体」「感染経路」「感染を受ける人」のいずれかの段階で広がりを遮断することが要点となる。3つの段階に対する対処方法は主に以下のとおりとなる。

病原体

病原体の不活性化、減菌処置、汚染物の破棄・除去、抗生物質、抗菌薬

感染経路

隔離、検疫、個人衛生の徹底、上下水道の整備、換気設備等の整備、動物へのワクチン接種、動物の隔離、治療、調理の衛生管理、ねずみ族・昆虫の駆除、蚊帳、昆虫の忌避剤

予防接種、接触者健康診断、予防内服、感染者に対する治療、患者の治療

この中でも特に、感染経路に対する正しい理解が感染症拡大予防には不可欠である。


注)空気感染:飛沫の水分が蒸発した飛沫核による感染。飛沫核は空気の流れに乗り、1m以上に渡って広く拡散し、通常、肺胞に直接侵入する。

飛沫感染:咳、くしゃみ、会話、特定の処置などの際に発生する飛沫による感染。飛散距離はおおむね1m程度であり、また、飛沫粒子は、大型のため、鼻腔や上気道に定着する。

接触感染:患者との直接接触(患者の皮膚と、医療従事者の手、皮膚の直接接触)、間接接触(患者周囲の環境や医療器具との接触)により感染するものである。また、飛沫感染、性感染、経皮感染、土壌感染、創部感染、糞口感染の一部又は全部が接触感染となる。
(東京都「感染症の調査と危機管理のためのマニュアル」より抜粋)

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