デジタル中心のコミュニケーション運用が鍵
IMJはブランドサイトとキャンペーンサイトの間で戦略に悩む企業の相談も数多く受けてきた。「ブランドの認知度が上がり、商品への理解が深まっているのに、ずっとテレビCMを打ち続けている。その一方で、デジタルの予算は非常に少ない」―そういった企業が多く見られるという。
さらに、「テレビCMを大量に出稿するような大企業ほど、デジタルを起点に発想することができていない」。コミュニケーションの中心となるものは何なのかといった明確にすべきことがあいまいになっているのは、「戦略にストーリー性がないから」だ。
例えば、テレビの情報がネットでは共有されていなかったり、ネット上で盛んに情報展開されていることがテレビに伝わっていなかったりといった、「マスメディアとネットが分断された、非常にもったいない状況」が起きている。
この状況を解決する鍵の一つは組織にある。「トップの認識が甘く、デジタルを軽視しているため、予算配分が充分でない企業はまだまだ多い。マーケティング全体の連携がとれる人材(責任者)を置き、そこに予算を集中させ、マスもネットも統合したマーケティング戦略を考えるべき時期にきている」。「組織の縦割り文化」も解決を阻む要因の一つ。「組織の中に横断的な協力体制があれば、風通しがよくなり、マーケティングも全体の空気感を管理できるようになるはず」。
デジタル前提で考える時代到来明確な目標設定が成功に導く
O2O戦略やオムニチャネルと言われるようになったが、実際は在庫の一元化や ITシステムの統合に留まっているケースは多い。
「現状を把握した上で、サイトの“リストラ”(再構築)を行い、リアルとどう連携してPDCAサイクルを回していくか、そのステップ論を明確にすれば成功は近い」。
IMJでは顧客分析の独自指標を用いて戦略立案に役立てる。「勝つためには敵を知ることが大事」だからだ。そういった意味では出口のあるECサイトなどは予算配分がしやすい。「マネタイズの方法まで含めた展開ができるのであればぜひやるべき。そうすればリアルとネット両方を持つ企業は、リアルが強くなるので、社内の理解が進み展開しやすくなるはずだ」。
一方、ブランドサイトの目的実現には、「顧客に対してブランド認知やブランド愛を高めるためのインセンティブをいかに提供していくかにかかっている。その実現には継続が重要だ」。つまり顧客の状況を理解しつつ、最適なコンテンツをどのように継続して提供できるかということで、「忍耐が必要。組織がしっかりしていないと難しいだろう」。オウンドメディアがどのくらい自社ビジネスに影響を与えているのか。そこがあいまいになると、予算や人員が減少する負のスパイラルに陥る。
そうならないためには、「他社のまねをするのではなく、トップマネジメントの理解を得られるような KPIが必要だ」。デジタルの知見があまり高くない企業は、スペシャリストの助言を聞きながら戦略を練るのも成功への早道かもしれない。「ネットの効果は圧倒的。あらゆる顧客接点からユーザーを誘引する先がネットになってきたことを前提に物事を考えていく時代に突入した。まず、そこを理解することが大前提である」。
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