2026年秋からNHKで放送開始予定の、連続テレビ小説『ブラッサム』。明治・大正・昭和にかけて活躍した作家の宇野千代をモデルにした物語だ。
本作のタイトルロゴが、放送開始に先立って公開されている。
デザインを手がけたのは、グラフィックデザイナーの矢後直規さん。
本作では、一流作家のパワフルな生きざまの裏側にある苦難や弱さなど、一人の人間としての心情が描かれる。こうした作品のテーマ性から、矢後さんが手がけてきた手描きの作品の数々が「儚さの中にも芯がある。そのバランスがドラマの世界観と合っている」と評価され、今回の依頼に繋がった。
この評価ポイントは、矢後さん自身が手描きのグラフィックを制作するときに大切にしていることと重なるという。「日ごろから、人的なエラーをあえて取り込むことで、人間らしい温かさや不安定さといったエモーショナルな部分が表現できるのではないかと考えています。そうした点をデザインから読み取ってくれたことが、嬉しかった」(矢後さん)。
制作にあたって、まずは宇野千代に関する資料や台本を1カ月以上かけて読み込み、方向性を探った。そして、硬筆をはじめ、筆で描いたようなタッチや線のデザイン性を強めたものなど、複数案を考えた。途中経過も含めて制作陣に提示したところ、タイトルにちなんだ桜の枝をモチーフに、手描きとデジタルを組み合わせたデザインが選ばれた。
ディテールについては、手描き特有のインクのムラを残しつつ、矢後さんのアシスタントがIllustrator上で部分的に直線をシャープに整えている。アシスタントにデジタル処理を委ねることで、自身でも「コントロールしきれない」自然な揺らぎを取り入れた。
手描き感の強いデザインに着地したのは、「幅広い視聴者が見る作品だからこそ、完成度の高い隙のないデザインよりも『自分でも書けそう』と思えるような表現の方が身近に感じられ、共感を生む」と考えたためだ。
ロゴの配置は、主人公が作家として活躍することから、原稿用紙と同様の縦書きを採用。背景に配した桜のイラストも、矢後さんの手描きだ。宇野千代が好きだったという「淡墨の桜」の大木をイメージした葉桜をコンパスと色鉛筆で描いた。
スタッフリスト
企画制作
NHK
AD+D+I
矢後直規

