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コラム

編集会議コラム〜コンテンツの裏側潜入!〜

キャッチフレーズは『本屋ですが、ベストセラーはおいてません。』——大阪の人気書店経営者による店と街の作り方

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近頃は街のことを考えるようになった。街はいろんな要素で成り立っており、店もその重要な要素のひとつ。店だけが栄えるなんていうことはない。店を考えることは、街のことを考えることで、本来当たり前のことだが…。

本屋の役割ってなんだろう?人はいつもいつも何かの目的を持って街に出るようでは疲れてしまう。街には目的もなくフラッと行ける場所が必要なはずだ。本屋はそれにうってつけの場所。立ち読みしていても店員に声をかけられることもなく、何も買わずに出て行っても罪の意識を感じなくてもよい。小売店なのにそんなところはなかなかない。常に隙間がある。フラッと立ち寄れて、ツッコミどころ満載の場なのだ。関われる場なのだ。本屋は街の余白。ゆとりなのだ。

私は本屋を本を売るためだけの場所だとは考えていない。生身のものが触れ合う場。思いもかけない出会いがある場。ここから何かが始まる場。常に完成はしていなくて、そこに集う人々によっていかようにも変化する。コミュニティが店をつくり、店がコミュニティをつくる。店は生活そのものであり、暮らしの中に存在する。本屋は本を売るという機能だけではない。だからAmazonだ、大型書店だと騒ぐ必要はない。本屋は街のコミュニティのハブなのだ。

本屋をそういう風に捉えると、他にもハブになりうるものが見えてくる。複数のハブが絡み合い、つながることによってネットワークができる。価値観でつながるネットワーク。街のことを考えると、大きな広がりが見えてきた。


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松田きこ

中川 和彦(なかがわ・かずひこ)
スタンダードブックストア 代表
1961年大阪生まれ。大阪市立大学生活科学部住居学科卒業。
1987年父の経営する(株)鉢の木入社、代表取締役就任。
2006年カフェを併設する本と雑貨の店・スタンダードブックストア心斎橋オープン。
2011年スタンダードブックストア茶屋町オープン。
2014年スタンダードブックストアあべのオープン。
本は扱うが本屋を営んでいる意識は希薄で人が集まり、
人と人が直接触れ合う場を提供したいと考えている。
editor

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