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コラム

ビデオコミュニケーションの21世紀〜テレビとネットは交錯せよ!〜

スマホとソーシャルが、すべてのメディアを映像に導く

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メディア激変の核になるのは映像

さてこの連載についてもう少し説明しましょう。いったい何をこれから書き進めていくのかというと。
簡単に言うと「これからメディアは激変するし、その核になるのが映像だ」、ということです。テレビではなくビデオコミュニケーション、としたのは、テレビだけでなくネット動画だけでなく、その両方、という意味です。テレビとネットの融合、とよく言われましたけどそれがこれから本格的に起こり、いつでもどこでも映像が視聴できるようになるしテレビもその中のひとつになる、ということです。その中のひとつになってもテレビ局やテレビ番組はやはり、ひときわ重要な存在ではあり続けますが、それとネット上の動画が交錯していくだろうと。

AdverTimesは広告界のメディアですからそこに根ざしていうと、このテレビとネットの交錯のカオスの中で、広告界も混とんとしてきそうです。いままでのルールや商慣習が通じなくなり新しいルール、その時々のやり方や考え方が必要になります。いままでこうやってたじゃないか、と言っていると置いてかれるかもしれません。映像で言うと、映画界とテレビ界とCM界と、あとはネット界というかシロウト界のやり方と人材が、こっちゃまぜになっていくのです。

いま思うと不思議ですが、これまでの映像制作はメディアごとに分かれて、メディアごとに人材もビジネスモデルも串刺しになっていました。同じテレビを通して流れる映像なのに、テレビ番組とテレビCMでは作り方も作る人も、使う機材も制作費の考え方も、まったく違いました。宇宙が違うと言っていいくらいで、交流もほとんどなかった。Webメディアの登場でその垣根が崩れかけたのがこの十年くらい。でもまだまだ、崩れかけた、程度でした。

それがどうやら、これから垣根がガラガラーッと崩れそうです。崩れて一緒くたになってこんがらがりそう。そして、これまでのそれぞれのやり方とも少しずつ同じで少しずつ違う、新しい作り方が新しい人材によってできてきそうです。ネットはこれまでとは別の新しい経路というだけでなく、これまでのメディアを呑み込み包み込んでしまう大きな受け皿でもあります。全部がここで受け止められてしまいそう。

さらに驚くべきことに、ネットと映像によって、もともと映像メディアではなかった新聞や雑誌メディアも、映像メディアに変貌しつつあります。完全には変わらないでしょうけど、部分的には映像メディアですよという新聞や雑誌が出てきています。もっとすごいのは、企業自身が映像メディアになりはじめた。自分たちで番組を作って配信する企業まで出てきています。

その状態を生み出すのは、ソーシャルメディアとスマートデバイスの力だと思います。私がよく人前でお話する時に使う図がこれです。

奥にテレビがあり、手前にスマートフォンやタブレットがある。その間には、ソーシャルメディアを通して、無数のネット上のコンテンツ群が散らばっている。これはいまのメディア接触の模式化のつもりです。

スマホとソーシャルがすべてを映像に導こうとしています。その中でテレビ受像機がどう奮闘するのか。ネット発のコンテンツがテレビをどう利用するのか。利用なんかしなくてもいいのか。それをこれからいろんな角度で切って、考えてみようと思います。
コンテンツを作る人、メディア事業を運営する人、メディアをマーケティングに活用したい人、それぞれが何をすればいいか、そしてどう生き残ればいいか、考えるヒントにしてもらえればいいな、と思います。
ということで、これから10回ほど、ぜひ読んでくださいね!


境 治(コピーライター/メディアコンサルタント)
1962年福岡市生まれ。1987年東京大学卒業後、広告会社I&S(現・I&SBBDO)に入社しコピーライターに。その後、フリーランスとして活動したあとロボット、ビデオプロモーションに勤務。2013年から再びフリーランスに。ブログ「クリエイティブビジネス論」(http://sakaiosamu.com/)はハフィントンポストにも転載される。著書『テレビは生き残れるのか』(ディスカバー携書)株式会社エム・データ顧問研究員としても活動中。