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コラム

ビデオコミュニケーションの21世紀〜テレビとネットは交錯せよ!〜

テレビがテレビの枠を超えはじめた。そこでは、新しい視聴計測が必要になる。

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アメリカの視聴計測はネットに対応している

ソロモン氏については、AdverTimesで独自にインタビューした記事があります。こちらも読んでもらうと理解しやすいと思います。

AdverTimes「多様化するデバイス・サービス——米国で進む、テレビ視聴“断片化”の現状」

ここでいう“断片化”が例えば「スマホでテレビを見る」行為のことですね。スマホだけではなく、テレビ受像機で見るときもいろんな見方ができるようになっています。

さて、その断片化に対応したUSニールセン社の考え方がこの図です。日本のニールセン社にお願いしてお借りしました。

まず、いちばん左端に“ふつうの”テレビ視聴がありますが、これは“ライブ&タイムシフト”となっています。ご存知の通り、アメリカではすでにC3と言われる、放送から3日間のライブ視聴と録画視聴を合計したCM視聴率データ(番組視聴率ではない)を使っています。その時点で日本は百歩くらい遅れていたわけですが、この表からはそれだけでなく、テレビでのVOD視聴、テレビにデバイスをつないでの視聴、PCでの視聴を計測していることがわかります。

さらに今年中に、タブレットとスマホでの視聴も計測体制を整える、というのがこのスライドで言っていることです。私はこれを見たときに、強い衝撃を受けました。こんなに進んじゃってるとは!

もうひとつ、左端に“リニア”と“ダイナミック”という言葉があります。“リニア”は通常の、番組とセットで固定的に流れるCM枠のこと、そして“ダイナミック”とは、ネット広告のバナーのように、視聴する人にターゲティングされたCM枠のことです。いまテレビCMはどの受像機にも同じものが(少なくとも同じエリアなら)放送されますが、ダイナミック広告は、端末ごとに違うCMが流せます。こういうCM枠も、テレビがネットで見られるようになると生まれるわけです。旧マスメディア感覚ではなじみにくいし、拒否反応をおこす人もいるかもしれませんが、拒否してる場合ではありません。むしろ、テレビコンテンツの価値が高まると前向きに受け止めましょう。

こんな複雑な計測を、業界の老舗であるニールセン社がよく整えたものだと思ったら、同社は既存の技術にこだわらず先進技術開発への投資や、場合によっては他社との戦略的提携なども行い、最新鋭の会社に生まれ変わったそうです。だからできたのでしょうね。

こういう視聴計測をすることで、テレビコンテンツの広告価値を余すところなく実体化できる。もちろん、まだまだライブ視聴での広告収入が圧倒的に高いでしょうけど、ネット視聴も収益化できれば大きなボーナスが得られます。そして、ボーナス部分は今後増えていくはず。本体のライブ視聴分は減っても、ボーナスで補っていくべきでしょう。

実際、アメリカではこの数字を元に、新しいセールスが始まっているそうです。きっと、ライブ視聴のCM枠を買った上にネット視聴のCM枠をセットで買うとうんぬん、というようなことでしょう。まさに、テレビCMのセールスにボーナスを加えようとしているに違いありません。

次ページ 「ひるがえって、日本の業界はどうなのでしょう。」へ続く