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コラム

企業トップが語る“次世代リーダー”の育て方

「リーダーの役割は、ビジョンを魅力的なストーリーにして語ること」——DNPデジタルコム 福田社長に聞く

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「あったら良いな」よりも「なくてはならないもの」を作っていく

——最近の社会動向や消費者動向で気になっているものはありますか?

個人的には、「2020年の東京オリンピック」「忘れられる権利」「3Dプリンターの普及」「人工知能のシンギュラリティ(特異点)の問題」の4つが気になっています。
まず、東京オリンピックについては、全ての仕事がオリンピックの前と後で大きく変わっていくと思っています。オリンピックイヤーで日本に来る外国人の数はおよそ2000万人と予想されています。これは2020年の19歳以下人口よりも多い数です。それだけ多くの「日本語を話さない人々」が日本に来るわけですから、例えばリアルタイム自動翻訳などの技術が当然出てくるでしょう。でも、こうした技術を当社のサービスに活用していくには今から準備をしておかないと間に合わないと思います。

また、「忘れられる権利」はとても難しい問題だと思います。「忘れられる権利」は現在、検索エンジンにおける検索結果からの削除という、狭い範囲での議論がなされている段階ですが、最終的には大元の情報自体を削除することが求められるようになってくるでしょう。我々も含め、仕事上大勢の人の個人情報を扱っている企業は多いと思いますが、例えばその中の1人の情報を消去するようにと言われた時に、インターネット上に散在してしまっている情報をどこまで、そしてどのようにして削除するのか。こうしたことについて今後も議論と研究が必要です。、。

3Dプリンターの出現は、購買活動を大きく変える可能性があると感じています。今までは「工場で作り、店で買って、家に持って帰る」という流れでしたが、デジタルデータをダウンロードして、直接家庭の3Dプリンターで作って手にする、という流れに変わる可能性があります。これはかなりインパクトのある変化なので、その中に、ビジネスチャンスがあると思っています。
最後に人口知能のシンギュラリティですが、技術的特異点と言われている2040年を待たなくても、チェスや将棋など特定の分野では、すでに人工知能が人間を超えているものはあります。そういった進化した人工知能が、まるで執事のように寄り添って日々の生活にアドバイスすることで、新しい購買プロセスが生まれるかもしれません。
今は、こうした変化の節目にいるのだと思います。

*忘れられる権利……プライバシー保護のための新しい権利の概念。個人が、個人情報などを収集した企業等にホームページ上などに残るそれらの情報の消去を求めることができる権利のこと。

——最後に、そういった未来を見据えつつ、貴社が今後どのような方向に向かっていこうとしているのか教えてください。

最終的には、社会基盤になるような事業に進出して世の中の役に立ちたいと考えています。現在、O2O、オムニチャネルといったことが話題となっていますが、将来的に生活空間全てがショールーム化し、例えば興味のある商品に端末をかざすだけで購入できる仕組みが一般的になっているかもしれません。そうなった時、読み取った画像を即座に商品情報にひも付ける仕組みが裏側には必要です。そのような「あったら良いな」ではなく「なくてはならないもの」にかかわっていきたいと思います。


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福田 祐一郎
DNPデジタルコム代表取締役社長

1983年大日本印刷に入社。研究部門や事業企画部門などを経て、2002年C&I事業部IT開発センター長、2009年情報コミュニケーション研究開発センター長などを歴任。2012年DNPデジタルコム代表取締役社長に就任し、現在に至る。