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コラム

右脳と左脳の間のほじって食うとこ

父親のエゴサーチと、IoTブームの間

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さて、特許といえば、もうひとつ忘れられないことがある。

弊社が2012年に、はじめて一般お客さま向けのビジネスを行った
OMOTE 3D SHASHIN KAN」というサービスである。

ひとことでいうと、「あなたの3Dフィギュアをつくる写真館」という
この世界初のビジネスモデル、大成功ののち、

 

速攻で世界中からパクられまくりました。

 

んもう社員総じて、涙目である。

このあたりのことは、PARTY清水幹太の「お父さんは少し怒っています」を読んでいただきたい。

 

最近、類似のサービスをインドで発見した。
しかも、技術的な障壁が解決された、よりオシャンティーなサービスになっていた……。

まるで、自分が一目惚れして磨き上げた女優の卵が大ブレイクして、超人気アイドルグループのセンターをつとめたあげく、どういうわけかアダルト界に転向し「あっちもセンターで」的なキャッチコピーで世を賑わした3年後、バラナシの安宿街で、インドで大ブレイク中の彼女のポスターをオートリキシャーから見かけて、
「なんで君こんなとこいるの……」とひとりごちるような、悲哀に満ちた気分だ。

 

かように、
ぼくらはビジネスや権利問題に、ヒヨッコで無頓着なんである。

 

先日、虎ノ門ヒルズで「SENSORS IGNITION」というイベントに参加した。

 

驚いたのは、
展示ブースが、メチャクチャよかったんですね。
狭い業界なので、よく知る会社も多く、デジタル広告業界のプロダクションや、名前隠してるけど代理店でしょ、みたいな人たちが、テーブル1個のみ与えられたようなブースで、精一杯のホスピタリティを用いて、各社の新技術、サービス、遊具を体験できる展示だった。

技術力も非常に高い。

PARTYも、製作中のものがあったのだが、どうしても間に合わず、今回は展示できなかった。モッタイナーイ、と脳内でワンガリ・マータイさんが叫んでいる。

 

「あ、いいな」と感じた理由は、たぶんこうだ。

「あまりビジネスビジネスしてない」ところと、
「受け手の体験や、ユーザー同士のコミュニケーションが見える展示」が多かったこと。

スタートアップ系やテック系のイベントで、同様の展示を見ても、ちょっと趣が違う。
かたや「いや『ハイビジョンの32倍の解像度』はすごいけど、どうやって使うのそれ」とか、何のソリューションだかわからない横文字がとびかっている展示ブースの横で「資金調達にまたもや成功しまして。恐縮ですウフフ」などとたたずまっていたり。

こっちは、もうちょっとなんというか、
超ハイレベル文化祭みたいな感じなんですね。
おそらく、メイカーズ系イベントも、そのような趣ではなかろうか。

 

この理由はカンタンだ。
IoT – Internet of Things(モノのインターネット化)ブームの到来とともに、ビジネス畑、技術畑、表現畑のそれぞれにいたひとたちが、一見同じようなものを展示する同じ舞台に立ったからだ、とぼくは思う。

それぞれの畑から出てきたIoTは、似ているように見えて、
顔つきがちょこっとだけちがうのだ。

とくに、デジタル広告プロダクションの方たちは、もともとの広告モデルでおしごとが成り立っている余剰でやっている場合が多い、と思う。
資金調達や事業売却に鋭い目を光らせる必要もないいいっぽう、失敗しても広告ビジネスがある。

ぼくもふくめて、広告畑というのは、一般人にとっては、ある種ゴミというか「たいしていらないもの」を作っている自負、コンプレックスも通底している。
「広告じゃなくてコンテンツつくってます」とお恥ずかしながら言いたい。
ホントは、プリウスとか作りたいですよそりゃ。世の中の役に立って、社会に使われて人類の進歩に貢献するようなことをしたい。

子どもから、
「パパのおしごとってなあに?」と言われたとき、
「んー?パパはね、ゴミつくってるんだよ」というのではなく、
「パパは、世の中がもっとよくなるようなアイデアを日々考えているんだよ」とでも言いたいものである。

その、千載一遇のチャンスかもしれないんですこれ。

これからは、JINS 「MEME」のように、企業が単にブランド広告をつくるのではなく、イノベーティブなものを作ることが、ブランディングに一役買うことになる。広告宣伝費でプロダクトをつくってしまうのもアリになる。
そこでは、インタラクティビティだったり、コミュニケーションといった、従来はぼくらに任されていた領域が必要になってくる。

 

これは、超燃える展開である。

次ページ「ところが、今のままで本当に大丈夫かな、」に続く