あなたは広告主ではありません、パトロンなんです——土屋敏男×谷口マサト対談(下)

【前回記事】「ネット文化は『電波少年』の影響を受けている—土屋敏男×谷口マサト対談(上)」はこちら

土屋敏男×谷口マサト対談の後半をお届けします。話は錯綜し、広告とコンテンツの話題から、世界へと飛躍していきます。そして「広告主はパトロンになるべき」という、産業とコンテンツの関係の本質論も出てきます。ネットならつくり手と広告主の距離が縮まる、というこれは前々回のコラムで吉田正樹氏に取材したネスレシアターと近い話にもなりました。盛り上がってホットになったお二人の話、どうぞじっくりお読みください。

広告なのか、コンテンツなのか。

境:

いま「広告とコンテンツの境目」ということが話題になっています。谷口さんは広告コンテンツを作っていますが、土屋さんからすると広告は興味の対象外ですか?

LIFEVIDEO代表 土屋敏男氏

土屋:

いや、そんなことないですよ。僕は、第2日本テレビをやった後に間寛平さんがマラソンとヨットで地球を一周する「アースマラソン」という企画をやりまして、これを広告とコンテンツの究極の形だと思っています。寛平さんが地球一周するために、必要なものをつくっている会社にクライアントになってもらったんです。

だから、サポートカーであるトヨタのプリウスはいつも画面に映るわけですよ。他にもいろんな企業にスポンサードしてもらい、そうした商品が必然的に映っている。「このお米、おいしい」「今日の昼食は、スタッフ手製のスパゲティだ」。そうやって広告とコンテンツがナチュラルに一体化していた。コンテンツ制作側から働きかけて、「こういう企画をやるから、お金をもらえませんか」というのを行っていけばいいのだと思いました。

谷口:

広告制作の現場でよく起きるのが、我々が見てもらうためにコンテンツにしようとしても、その要素を減らしてもっと広告にしろと言われること。そのせめぎ合いです。

続きを読むには無料会員登録が必要です。

残り 4894 / 5389 文字

KAIGI IDにログインすると、すべての記事が無料で読み放題となります。

登録に必要な情報は簡単な5項目のみとなります

「AdverTimes. (アドタイ)」の記事はすべて無料です

会員登録により、興味に合った記事や情報をお届けします

境 治(コピーライター/メディアコンサルタント)
境 治(コピーライター/メディアコンサルタント)

1962年福岡市生まれ。1987年東京大学卒業後、広告会社I&S(現I&SBBDO)に入社しコピーライターに。その後、フリーランスとして活動したあとロボット、ビデオプロモーションに勤務。2013年から再びフリーランスに。有料WEBマガジン「テレビとネットの横断業界誌 Media Border」を発刊し、テレビとネットの最新情報を配信している。著書『拡張するテレビ ― 広告と動画とコンテンツビジネスの未来―』 株式会社エム・データ顧問研究員。

境 治(コピーライター/メディアコンサルタント)

1962年福岡市生まれ。1987年東京大学卒業後、広告会社I&S(現I&SBBDO)に入社しコピーライターに。その後、フリーランスとして活動したあとロボット、ビデオプロモーションに勤務。2013年から再びフリーランスに。有料WEBマガジン「テレビとネットの横断業界誌 Media Border」を発刊し、テレビとネットの最新情報を配信している。著書『拡張するテレビ ― 広告と動画とコンテンツビジネスの未来―』 株式会社エム・データ顧問研究員。

この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

このコラムを読んだ方におススメのコラム

    タイアップ