世界の面白プロモーションに見る 人を動かすアイデア7選 Vol.03

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株式会社宣伝会議は、月刊『宣伝会議』60周年を記念し、2014年11月にマーケティングの専門誌『100万社のマーケティング』を刊行しました。「デジタル時代の企業と消費者、そして社会の新しい関係づくりを考える」をコンセプトに、理論とケースの2つの柱で企業の規模に関わらず、取り入れられるマーケティング実践の方法論を紹介していく専門誌です。記事の一部は、「アドタイ」でも紹介していきます。
第3号(2015年5月27日発売)が好評発売中です!詳しくは、本誌をご覧ください。

世界を見渡すと、日本ではあまり見られないような驚きのアイデアで人の心を掴み、行動を喚起したプロモーションが数多くあります。マス広告を打たなくても、人は集まる、モノは動く。そんな事例を紹介します。

01 街中の「www」な状況にツッコミ
マース スニッカーズ「Hungry mistakes」(米国)

“You’re not you when you’re hungry. (お腹がすいている時、君は君じゃない)”のタグラインでグローバルコミュニケーションを展開している、マース社のスナックバー「スニッカーズ」。その一環で、同ブランドは米ニューヨークの街のいたるところに、小さな広告ステッカーを掲出した。ステッカーには「You make mistake when you’re hungry.”(お腹が空いたら失敗します)」とのコピーが書かれており、貼られた場所には、思わず「どうしてそうなったwww」とつっこみたくなるような光景が広がっていた–ドア裏に貼られた、「Floor 7st」とスペルミスのあるフロア表示。

矢印の通りに進むと、次の瞬間手すりに激突してしまう道路標識。“Enter” “Do Not Enter”が両方表示されているドア…。そんな状況と、スニッカーズの広告を同時に見せることで、「お腹がすいている時、君は君じゃない」というブランドメッセージを印象付けようとした。広告はSNSで話題になり、こんな光景を発見したらハッシュタグ「#hungrymistakes」つきでツイートして!と呼びかけた。

02 携帯操作は事故のもと、を体感するキャンペーン
ポルトガル交通局「PRP BUMPER CASE」(ポルトガル)

ポルトガル交通局によると、自動車運転中の事故発生率は、携帯電話を使用することで400%も増加するという。運転中の“ながら携帯”がいかに危険であるかを啓発するため、同局は欧米の遊園地で定番のアトラクション「バンパーカー」を使った実験型キャンペーンを実施した。「バンパーカー」は、柔らかいゴムで車体を覆われた車に乗り、他の車と車体をぶつけ合って楽しむ乗り物。今回の実験では、各車両にこっそり携帯電話を忍ばせた上で、被験者の乗客にはあえて“他の車両にぶつからないように”運転するよう指示した。

周りの車を避けながら走行する被験者たち。タイミングを見計らって、仕掛け人が各車に忍ばせた携帯電話を鳴らす。すると、被験者たちの注意は、近くで鳴り続ける携帯電話に注がれる。周りの車にぶつからないようにしながら電話に出ようとするものの、あえなく次々と衝突してしまう。今回は、衝突したところでゲームオーバー。被験者たちに、これが「運転中の携帯電話操作防止」の啓発キャンペーンであることを種明かしした。

03 サービスが良すぎる屋外広告
カールスバーグ「#ProbablyTheBest」(英国)

大手ビールメーカーのカールスバーグは、“Probably the best poster in the world(たぶん世界で最高のポスター)”というコピーが書かれた全長12メートルにおよぶポスターを、ロンドン市内にあるオールド・トルーマン・ビール蒸留所に掲出した。看板の中央部にはビールのサーバーが設置されている。なんと、誰でもビールを無料でグラスに注いで飲んでいいという大サービス企画である。

ポスターの前には、通りすがりの人はもちろん、SNSでこのキャンペーンを知った人たちの長い行列ができた(プラスチック製のグラスが無料配布されたので、グラスを持参する必要はなかったそう)。

カールスバーグが展開中のキャンペーン“If Carlsberg did…(もしカールスバーグが〇〇したら…)”の一環として、4月8日の1日(午後1~7時)限定で実施した新しい形のサンプリング企画は、数多くのメディアでも取り上げられ、話題化した。

カールスバーグは、英国内のロンドン以外の都市でも同様の施策を順次展開する予定としている。

04 高級紳士服ブランド発、政治家向け“反・汚職”スーツ
Robert「Anti-corruption suit」(パラグアイ)

人々の政治不信を増幅させる、政治家の汚職。国際NGO トランスペアレンシー・インターナショナルによると、2014年腐敗認識指数(汚職の蔓延度を数値化した国別ランキング。順位が高いほど“清潔度”が高い)によると、南米パラグアイは175カ国中150位。ちなみに首位はデンマークで、日本は15位である。

そんな汚職政治家への嫌悪感をビジネスに変えた事例が、高級紳士服ブランド・Robert Tailor Shopの「Anti-corruption suit(反・汚職スーツ)」だ。公金の着服・私的流用で起訴された、与党コロラド党のJose Maria Ibanez副党首の名にちなんで、「Ibanezコレクション」として製造・販売した。特徴は、(賄賂を入れるための)ポケットがないこと。ポケットを不正の象徴と見立てたスーツを通じて、「政治家は清廉潔白であるべき」というメッセージを発信した。

メディアが相次いで紹介し、SNSで話題が爆発的に拡散、キャンペーンは5500万人以上にリーチした。広告費はたったの5万ドルで、PR効果は広告換算費450万ドルにのぼった。

人気女優のスキャンダルをリークして、中国全土に話題を拡散
P&G ジレット「Gillette Scandal Shave」(中国)

中国の男性にウェット・シェービングの良さを啓蒙するため、剃刀ブランドのジレットが実施したのは、芸能人の「プライベート動画の流出」をネタにしたWebキャンペーン。中国の人気女優カオ・ユアンユアンが、男性の髭を剃っているプライベート風の映像を“流出”させ、メディアでの話題化を図った。キャンペーンは開始2週間で2億3700万人にリーチし、中国において史上最高の売上額を2カ月連続でマーク。中国の大手通販サイト「Tモール」では、キャンペーン開始直後、1時間に1600本の剃刀が売れた時期もあったという。

キャンペーンサイトでは、ユーザー参加型企画として「髭剃り姿のセクシーさ」を競うセルフィー(自撮り写真)コンテストも開催され、見事1位に輝いた人には、イベントでカオ・ユアンユアンに髭を剃ってもらえる権利が与えられた。

BBDO Shanghaiが手掛けた同キャンペーンは、スパイクスアジア2014のPR部門でシルバーを受賞、アジア太平洋エフィー賞2015でゴールドを受賞するなど、高い評価を受けている。

06 スマート・ホーム製品の手軽さと利便性を体感できるバス停
British Gas Hive Active Heating「Self Heating」(英国)

欧米では、スマートデバイスを使って屋外から自宅の暖房設定や家電製品をコントロールできる「スマート・ホーム製品」の市場が、2014年の24億ドル(2750億円)から2017年には40億ドル(4580億円)へ拡大すると見込まれている。ある調査では、スマート・ホーム製品を所有している消費者の半数近くが35歳以下であることが明らかに。20~35歳の「ミレニアル世代」(幼少期からネットやソーシャルメディアに慣れ親しんでいるデジタルネイティブでもある)がすでに米国人口の大多数を占めていることから、今後さらに需要が伸びるとされる。

英国のエネルギー事業会社大手のBritish Gasは、スマート・ホーム製品ブランド「Hive Active Heating」の認知拡大を目的に、“体感型”バス停広告を展開した。マンチェスター・ピカデリー駅にあるバス停内で、ハッシュタグ「#TweetToHeat」をつけてツイートすると暖房が稼働、バス停内が暖まるというもの。1回のツイートで90秒間暖房が稼働。スマートデバイスを使って空調をコントロールする体験を通じて、Hiveの魅力をアピールした。

07 電車を待っている間、早押しゲームに挑戦!
リーボック「Subway Pump Battle」(韓国)

大手スポーツ用品ブランドのリーボックは、ランニングシューズ「ZPump Fusion」のプロモーションを目的に、韓国の地下鉄構内で一般参加型のイベントを実施した。その名も、「Subway Pump Battle」。ホームで電車を待っている間、無作為に選ばれた2人の乗客に“ボタン早押しゲーム”で対戦してもらうというものだ。

ベンチに座って電車を待っていると、ホームドアに設置されたスクリーンに、突如自分の顔が。驚いて、ふと反対側のホームを見ると、そこにも同じく、戸惑った表情の人がいる。画面上の指示に従ってボタンを押すと、カウントダウンがスタート。ホームドア上には、光るボタンがいくつも設置されており、時間内により多くのボタンをタッチしたほうが勝者となる。激戦の末、勝ったほうには、「ZPump Fusion」がプレゼントされた。

とある調査によれば、韓国のオフィスワーカーの実に7割以上が運動不足の問題を抱えているという。同イベントは、ちょっとした時間をただ座って過ごすのではなく、手軽なエクササイズに充てることを提案する狙いもある。


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