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ライフサイクルのすべてのステージで必要な「ジャーニー・マネジメント」 ——「salesforce connections 2015」レポート③

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「salesforce connections 2015」レポート②はこちら

データは個別化された体験提供の燃料となる

「salesforce connections 2015」ではキーノートセッション以外にも専門的な内容を扱う、多種多様なブレークアウトセッションも開催されている。顧客を獲得し、エンゲージメントを深め、顧客との関係を継続させるために、デジタルマーケティングをどのように活用すればいいのか。Salesforce Marketing CloudのMarketing Insights at、ジョエル・ブック氏のセッションをレポートする。

ジョエル・ブック氏は、まず消費者行動の変化に言及。「スマートフォンユーザーのアプリダウンロード数は平均で25」、「消費者の74%は購買行動の意思決定に際してソーシャル上の情報を信頼している」…など、消費者の情報収集・購買行動が複雑化し、従来型のマーケティングが通用しづらくなっている背景を説明した。

こうした状況でブランドが成功するには、個別化された体験をカスタマーに提供できるかが試金石となる。個別化された魅力的な体験を実現するうえでは、ニーズや興味を理解し、そのデータを基に、個々のカスタマーが興味を持つコンテントを継続して届け続けることが必要だが、パーソナライズドされたオファーをすることで、コンバージョンレートが6~8%向上するという結果も出ているという。「データは、パーソナライズドした体験を提供する、燃料となるもの」とデータ活用の重要性を説いた。

また現代の消費者はリアルとデジタル関係なく、あらゆるチャネルを介してブランドと接点を持つ。さらには、そこでの体験が一体化されていることを求め、それが実現しないと、ブランドに対して満足を感じない。ブランドはカスタマーライフサイクルの各ステージに合わせ、個々の消費者が興味を持つであろう、コンテントをワントゥワンのチャネルを活用して届けていくことが必要と説明した。

米国にあるFirst Midwest Bankでは、顧客のニーズや興味、位置情報などのデータを分析し、個々の顧客に合わせたオファーをメールで配信したところ、ダイレクトマーケティングに費やしていたコストを80%削減でき、商品のオファーに対するコンバージョン率が800%の伸びを見せたという。

競合他社以外の新たなライバルが登場している

ジョエル・ブック氏は、ブランドが成功するためのデジタル活用について、以下のようにポイントをまとめている。

1.ソーシャルメディア・マーケティング

カスタマーを知るためのソーシャルリスニング。さらにカスタマーの属性に合わせたソーシャルメディア上での広告配信など、ソーシャルメディア・マーケティングは見込み客の育成や新しい顧客の獲得につながる。

2.モバイル・オプティマイゼーション

カスタマーと常に継続的につながり続けるためには、モバイルの活用は必須。メール、WEBサイト、ランディングページなど、すべてにおいてモバイルでの利用のしやすさを念頭に置いて、制作されなければならない。

3.ジャーニー・マネジメント

商品の比較、検討、購入から使用、リピート購入に至るまで、すべてのライフサイクルにおいて個別にジャーニーを定義。さらに各ジャーニーごと、どのポイントでどの接点を介して、カスタマーに対するアクションを起こすのかを決め、そのアクションをテクノロジーを活用し、自動実行できる仕組みを作ることが必要。

ジョエル・ブック氏は、個別化された体験を提供できない企業は売上拡大の機会を得られないばかりでなく、競争力を失っていくとも指摘する。「今の時代、企業は競合他社の動きだけを見ていればよいわけではない。自分たちの競合が誰なのかを見直す必要がある。Amazon、Uberなどテクノロジーとデータを活用し、パーソナライズドされた体験を提供する企業が成長を遂げる中、消費者にとっては彼らが提供する体験が標準になりつつある。こうした企業と従来からある企業、ブランドは戦っていかなければならない。だからこそ、今マーケティングはデジタルを活用し進化を遂げなければならない。デジタルの活用が重視されるのは、一部の業態に限った話ではない」と話した。