コラム

ビデオコミュニケーションの21世紀〜テレビとネットは交錯せよ!〜

Netflixについて広告業界が知っておくべき2、3の事柄

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Netflixのユーザー獲得施策とは

当初の話とちょっとちがっていたのが、リモコンのボタンの話です。まず、今後新しく発売されるテレビには、ほとんどNetflixボタンが付くのだそうです。

これまでもVODへのボタンはテレビのリモコンに付いていましたが、申し訳なさそうにはじっこにちょこんと付いていたものでした。ところがNetflixボタンはいちばん上や中央にドン!と付きます。思わず押してしまう存在感です。

どうしてそんな付け方ができたのかは、テレビメーカーにレベニューシェアがあるからだと言われていました。「Netflixの月々の利用料の何%だかが、テレビメーカーに支払われるらしい」、そんな情報が聞こえてきましたが、どうも少し違うらしい。少なくとも、日本ではそういう条件ではないようです。

テレビメーカーとの関係はどうもかなりデリケートなので、もう少しはっきりいろいろわかってから書くことにします。

すでにあちこちで報じられていますが、彼らの日本進出の大きな理由のひとつに、日本のコンテンツの魅力があるようです。世界に売れるのではないかと、本気で考えている様子です。

彼らはこれまで、自分たちが制作したものも含めてハリウッドコンテンツを世界中に配信するのが事業の核でした。でも今年から新たな国々に進出する際に、各国のコンテンツを世界中に届けることを強く意識しているようです。そして日本は、自分たちの国のコンテンツをよく視聴するし熱烈なファンが多い、という特長があるといっています。

実際、映画興行のランキングに、これほど国内の作品が並ぶ国はほとんどないのですね。

いまクールジャパンのかけ声で政府主導により日本のコンテンツを世界に買ってもらおうという動きがありますが、Netflixはそれをあっさり実現してくれるかもしれません。何しろ、世界中に流通網をすでに持っているのですから。新たに現地で放送するなどややこしい取組みは必要ないのです。ここには大いに期待できそうです。

彼らはアメリカでまず急成長したわけですが、どのような施策で伸びたのか、AdverTimes読者にとってはマーケティング的な興味をそそりますよね。ちょうど、コミュニケーション担当役員のジョナサン・フリードマン氏に話を聞けましたので少し紹介しましょう。

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コミュニケーション最高責任者、ジョナサン・フリードマン氏。ディズニーで副社長も務めたすごい経歴なのですが、気さくで愉快な紳士でした。元新聞記者なのも意外!

彼らは2007年から配信サービスをはじめていますが、2008年から2009年にかけてXbox、PS3といったゲーム機で利用できるようになったことが大きかったそうです。その際に、DVDをユーザーに送ってそれをセットするとNetflixアプリが使えるようになる、という施策を行ったのが功を奏したのだと言います。

テレビCM中心だったのか、ネット広告を展開したのかを聞くと、テレビCMはあまり使わなかったと言っていました。ほとんどデジタル広告で、YouTubeも積極的に使ったそうです。

若い世代を対象にしていたからだと言いますが、日本では若者向けのアプリもテレビCMをがんがん使うわけで、ずいぶん感覚が違うのだなあと思いました。

各国に配信サービスのライバルはいたのかを聞くと、どの国もあまりなくて、自分たちが進出をアナウンスすると急にスタートする配信サービス事業者も多かったそうです。彼らが来ることで市場が急に立ち上がるわけですね。すでにdTVやhuluなどが市場を形成している日本はやはり特殊なのでしょう。

Netflixは広告メディアとして使えるか

さて最後に、広告業界の視点で気になる点を書きます。Netflixは広告メディアになるのか。残念ながら、答えはNOです。コンテンツがはじまる前にプリロール枠がつくらしいというニュースもありましたが、それはあくまで自分たちのコンテンツの告知に使うためのもの。

彼らは「ユーザーのためには広告を排除すべきだ!」という理念を持っています。あれだけ会員数がいるのだったら広告メディアとしてもさぞかし力を発揮しそうですが、そういう考え方が“お嫌い”らしいのです。

ただ、フジテレビとの共同制作として発表された『テラスハウス』は、当初TOYOTAの一社提供でプリウスが重要なアイテムとして画面に再三登場していました。今回のNetflixで配信する新作でプリウスがどんな位置になるのか、登場するのかしないのか、まったくわかりません。

でももし、これまで同様の使われ方をするなら、世界中に「若者の生活にプリウス」を印象づけられる可能性があります。プロダクトプレイスメントというやつですね。

つまり、こういう手法はありえる、ということではないでしょうか。広告業界としては、そういう興味でNetflixを見つめてもいいのかもしれませんね。

Netflixについてはまたこの連載で扱っていきたいと思います。雑誌の『宣伝会議』のほうでのインタビュー記事も予定されているのでそちらもお楽しみに。


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