日本人はカンヌで何を語ったか②データ×クリエイティブを担う新たなチーム「Dentsu Lab Tokyo」

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【前回記事】日本人はカンヌで何を語ったか①日本のクリエイティブを「デコード」した、博報堂セミナー

データはクリエイティビティと相対するものでははく、むしろ豊かなストーリーの源泉となるもの——「Creativity ㏌ the Age of Data」と題された電通のセミナーでは、データを表現に取り込んだアート作品から、「Sound of Honda Ayrton Senna 1989」などの広告事例まで、多彩な事例を引用し、データとクリエイティビティの未来像が提示された。スピーカーの電通 山本浩一さんと、このセミナーの企画を共に行った菅野薫さん、ライゾマティクスの真鍋大度さんの3名に話を聞いた。

Dentsu Lab Tokyoの本格稼働を発表

——電通は今年全部で4つのセミナーを行っていますが、その中でこのセミナーはどういう位置づけなのでしょうか?

山本:テクノロジーとクリエイティブの掛け合わせをテーマにここ数年セミナーを行っていますが、今年はデータ×クリエイティブの可能性に焦点を絞りました。真鍋大度さんたちと手がけてきた仕事やインスピレーションを受けた仕事を紹介し、その先の未来像を提示しながら、最後はDentsu Lab Tokyoの紹介につなげています。

菅野:僕はセミナーを「過去にやった仕事を紹介する場」で終わらせたくないという気持ちが強くあります。ここ3年は「何かに挑戦する機会」にすることを自分なりのテーマにしています。2年前にPerfumeを招待してセミナー内で全く新しいパフォーマンスを紹介することに挑戦したのも、そういう理由からなんです。今年はDentsu Lab Tokyoでいま取り組んでいるビョークとのコラボレーションを、これから取り組んでいく未来のプロジェクトとして最後に紹介しました。

——Dentsu Lab Tokyoは、去年のカンヌで設立を発表したものですね。いよいよ本格稼働ということですが、具体的にはどのような形で活動を始めるのですか?

菅野:Dentsu Lab Tokyoは1年ほど前からバーチャルな組織としてはあったのですが、今年9月に東京の電通の中に実際に専用のスタジオが設けられるんです。電通で手掛ける仕事とDentsu Lab Tokyoの仕事の違いは、言ってみれば短距離走型か、中長距離走型か。電通はクライアントの要望をもとにスピーディに広告をつくる仕事がメインなので、アイデアを中長期的につくりこむことがなかなかできません。しかし、スポーツの課題や音楽などのパフォーマンス開発に関する課題は、基礎研究的に蓄積しておく部分が電通でも必要で、そこに対応するための組織というわけです。電通社内だけではなく、真鍋さんら外部メンバーも含めて構成されています。

真鍋:中長期型とは、言い換えれば「求められていない段階からはじめる」ということです。ライゾマティクスには「Rhizomatiks Research」という研究機関がありますが、Dentsu Lab Tokyoができたことに対しては、中長期的にプロジェクトを一緒に行える土台ができたのだと捉えています。広告はどうしても納品ベースの仕事の進め方になってしまうけれど、今後はもっと先のビジョンを持ってプロジェクトを進めることができるはず。例えばフェンシングの太田雄貴選手の動きをビジュアライゼーションできたら、次は解析してみて、さらにその解析データを使って次の相手の動きを推定できるようにして・・・といった進め方ができるんです。これまでの広告の方法論とは全く違ってくると思います。

菅野:数カ月内に納品する仕事ではなく、長期的な視点で取り組むような大きな仕事を担当する組織、という言い方もできるかもしれません。現在、フェンシング選手で国際フェンシング連盟の理事でもある太田雄貴さんとはフェンシングの可視化のプロジェクトを長期的に協業していこうと進めていますが、これからはもっと色々なパートナーと、時間をかけてこうしたプロジェクトを進められるようになります。

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