スカイマーク支援のインテグラル・佐山氏が明かす 企業再生の舞台裏

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工場での現場経験が源流に

何よりも現場で働く従業員を重視する佐山氏。その源流は、11年間勤めたメーカーで工場の現場を経験したことにある。

「元々、私は帝人の技術者として愛媛県松山市の工場でポリエステルの重合関連の業務に従事していました。入社してすぐ、3年間、数十人のチームを任され、24時間の3交代勤務を経験しました。現場には、高校を出たばかりの若い人から自分の父親くらいの世代まで幅広い層の様々な人がいて、例えば夜勤では4日間連続で夜12時から朝8時まで働くという三交替勤務を経験しました。こうした経験を通じて、現場で働く人たちが何を考えて仕事しているかを肌で感じられたことは非常に勉強になりました。メーカーであれ、エアラインであれ、現場が一番大事で、そこで働く人を大事にしたいという思いはそこに原点があります」。

佐山氏は33歳で、当時の三井銀行へ入行。そこで日本では先駆けとなるM&Aに携わり、多くの経営者と出会う中で、確信したことがある。

「M&Aアドバイザリーとして、様々なタイプの社長さんと出会いました。その中で実感したことは、魅力的な社長のもとには魅力的な社員が集まるということ。社長は常に人を集めるにあたっての“広告”のような役割を担っているのです。その考え方は投資の仕事を続ける中でさらに強くなりました。また、スポーツチームの監督やグループのリーダーも同様で、組織がうまく機能しない責任はトップにあることは間違いありません。人の上に立つ人こそ、社内で自分が見られていることを自覚してほしいです」。

社員の評価=企業の指標

「私が魅力的に感じる企業は、社員が楽しく一生懸命働こうと思っている会社です。一生懸命働きたいと思える企業をつくるには、社員に『経営者は自分たちのことを思ってくれている』と感じてもらう経営をしないといけません」。

こう語る佐山氏が、その企業の社員の率直な意見を知るため時折参考にしているのが、某転職サイトに書き込まれた、従業員の口コミだ。このサイトは「待遇面の満足度」「社員の士気」「風通しの良さ」「社員の相互尊重」「20代成長環境」「人材の長期育成」「法令順守意識」「人事評価の適正感」の8項目を0~5点で評価した社員の声が掲載されている。実際に見てみると、無名の企業が高得点を挙げていたり、優良企業として名高い企業が低評価だったりと、企業イメージとは異なる実態が垣間見える。

「このサイトの評価と、実際に企業を訪問して感じる雰囲気は一致することが多いですね。企業内の空気は、受付の対応や営業先での会話など、様々な面で伝わってしまうのです。例えば、お客さんが来た時に、従業員が挨拶をするのか、しないのか。また、社長に対して、どんな態度で接しているのかを見ても会社の雰囲気が分かります。工場見学をしていても、社長と従業員が楽しそうに会話していたら『いい会社だな』と感じますよね。そういう意味では、現場で働いている社員全員が企業の姿を発信しているとも言えます」。続けて佐山氏は、社内広報の必要性をこう訴える。

「経営者の思いや姿勢は、必ず社員に伝わります。会社の雰囲気が良くなければ、社員からマイナスの側面が、どうしても社外に伝わっていきます。これが企業にとって怖い。マイナスの側面が、こともあろうに社員から社外に伝わることは、企業としてあってはならないことです。それを防ぐ意味でも、私は経営者、さらには経営層や管理者に対して、社内コミュニケーションの重要性を理解してほしいと考えています」。

次ページ 「入社時以上のやる気を引き出す」へ続く

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