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コラム

戦略PR視点で、大学・地方・アートを考える

1限目「先生!PRって何を企画すればいいんですか?」「PRにも有償のものがあるんですか?」

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「広報」と「PR」は何か違うのですか?

よく「広報」=「PR」と考えられがちである。

企業が社会に向けて幅広く「情報」を発信すれば、それは全体として「広報活動」である。一方「PR(パブリックリレーションズ)」の本当の意味は少しニュアンスが異なってくる。

「広報」が企業による「情報発信」であるならば、「PR」の本来の意味はもう少しインタラクティブ(双方向)の活動だ。例えばSNSなどを使って顧客の生の声(ありのまま)を知ってもらおうとする企業活動も「PR」の範疇に入る。

自分たちの都合のよい情報を一方的にストーリー立てて発信して、ふわっとした単なる「空気作り」を目指すのではなく、生活者自らが「メディア」となって、口コミ(良い評判のストーリー)を醸成し伝達していってもらうための「仕組み」を作ることが、現在の「PR」の主流になりつつある。

つまり「PR」とは。企業と社会との良い関係をよりよくするためのコミュニケーション活動であり、手法としての「広告」や「パブリシティ」も時として含むことになる。同時に「寄付」「環境保護」「社会貢献」など、企業が社会の一員としてより良い印象をもってもらう活動全般を含むことになる。

けっこうややこしいです…

このように「広報」「PR」「広告」「パブリシティ」はそれぞれニュアンスが少しずつ異なっている。さらに一部重なる領域もある。

「PR」の一環として行われる活動に「ペイドパブリシティ」(実質的には「広告」)もあれば「パブリシティ」も含まれる。「広報」「PR」「広告」「パブリシティ」の違いが、ますますわかりにくくなってきた。もはやこうした言葉の「定義」や「違い」については、もはやあまり気にする意味はなくなったのかもしれない。

結局・・・PRの企画って何をすればいいんですか?

私が広報PRの仕事を始めた20年ほど前は、まだまだ営業や商品企画などとは異なり、必要性も役割も明確に社内では理解のされにくい職種だった。新商品やプレスリリースを持ってマスメディアに出向き、「掲載をお願いする仕事」くらいに思われていた。「お願い」をしたときに、ちゃんと「掲載していただく」ための「人脈」「ネタ作りのノウハウ」などが重視されていた(今でも大切でないわけではないが…)。

しかし、最近ではすっかり様変わりした。

企業は社会とのインタラクティブな関係性を必ずしもマスメディアでの露出を前提としなくとも構築できるようになった。オウンドメディアやSNS、あるいはリアルイベントや購買そのものを通じて顧客や生活者自身がメディアとなって企業や製品の評価を決定づけるに至った。

企業が最も優先して行うべき「リレーション作り」が、かつてのような「マスメディア」との「リレーション」だけではなく、企業自身を含む社会全体との「リレーション作り」が重要となり、こうした社会性のデザインがPR活動主流となりつつある。

では「PR」の企画というのはどのように変わったか。これまでのように単にマスメディアに取り上げられる「ネタ」を考えて作りだすことではなくなった。あえて定義するならば、「企業と社会(ステークホルダー)がより良い関係を築くことができるためのデザインを行うこと」だといえる。

「先生!PRって何をすればいいんですか?」「先生!広告とPRは違うものですか?」という学生からの素朴な質問が、ずいぶんとややこしい話へと発展してしまった。


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