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コラム

澤本・権八のすぐに終わりますから。アドタイ出張所

明石家さんまさんにプレゼンするより怖いものはない(ゲスト:角田陽一郎)【前編】

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「話題だからテレビに出てもらう」は本末転倒?

権八:本当に失礼ですが、「オトナの!」を見たことがないんです。トーク番組なんですよね。

角田:トーク番組です。せいこうさんとユースケさんと話しています。フジテレビさんに「すべらない話」ってありますけど、この番組はすべってもいい話とよく言っています。すべろうが、すべるまいが普通にしゃべってくれと。その話している内容が面白ければほぼカットしないで放送しちゃおうみたいなコンセプトです。

あと、普通の番組ではゲストの詳しい解説をよくナレーションで入れますよね。うちの番組はそういう説明を入れません。それはなぜかというと、雑誌なんかを見ていて、すごい方っていきなり巻頭で写真が何枚かあったりしただけで、ニュアンスだけで、すごいって感じませんか? 伝わっちゃうんですよね。伝わって、興味が出たら自分でその人のことをスマホで調べるから、それでいいんじゃないかなと思っています。その人のオーラしか感じないように番組をつくると。

澤本:それはいいですね。

角田:説明は極力少なく。その話を聴いて面白ければ検索するし、ミュージシャンならiTunesでその方の曲を買うと。もともとどう興味を惹起させるかみたいな機能がテレビだったのに、今は逆で、すでに惹起された話題になってる人をテレビに出そう、みたいにつくっちゃうじゃないですか。

澤本:そうですね。

角田:「オトナの!」は逆です。その人がすごいオーラをもっていて、放送しちゃえば、あとはそのオーラをどう利用するかは視聴者さんのご自由にと。それを見て、感動するなり、音楽を聞くなり、ライブに行くなりは視聴者さんのご自由にという風につくったほうがバラエティは面白いんじゃないかなと思ってやっています。

澤本:視聴率の話をあまりしないですもんね、角田さんは。

角田:これ言うと何なんですけど、深夜番組ってだいたい視聴率は2〜,3%なんですよ。1%=100万人と言われているので、200〜300万人は見ているということなんですけど。

澤本:はい。

角田:ところが、視聴率の誤差って±2.4%あるんですよ。ということは10%の番組は12.4%かもしれないし、7.6%かもしれない。そこに気づいてしまったんです。以前、ハイパーメディアクリエイターの高城剛さんがSNSでこうつぶやいていたことがあるんです。僕が言っていることを皆バカにしていると。でもそれは当然で、僕は0.1%くらいの人にしかわからないことを言っているんだと。だから99.9%の人に響かないのは当然なんだと。そんなに少なくていいのかと思ったんですけど、1億3千万人の0.1%って13万人もいる。高城さんの本がその0.1%の人に響けば13万部確実に売れるならそれでいいということだなと。その考え方に共感して、テレビではいずれにせよ誤差の範囲とされてしまうのなら、逆にその0.1%に刺さるものを「オトナの!」ではつくっていこうと。

澤本:なるほど。

角田:でも、それはマニアックなものをつくろうという意味じゃないんです。そこから2倍、4倍、8倍16倍になるだけのオーラを持ったトークができればそこから勝手に広がるはずだというメディアの力を信じて作っているんです。

澤本:面白いでしょう?角田さん。

権八中村:面白い!

権八:話がよどみないですね、止まらないし(笑)。

澤本:今までの時間のうち98%はしゃべってる(笑)。

中村:澤本さんは以前、どうしてテレビはひな壇芸人のバラエティ番組ばかりになったのかという話をしていましたね。視聴率至上主義がその要因じゃないかと。

角田:全てはフリとオチだと思うんです。たぶん、CMもそうだと思うんですけど、どうやってフリにして、オチにするか。つまり、フリとオチをやらなければいけないんですけど、フリの間ってある意味、オチがないからみんな退屈しちゃう。

澤本:そうですね。

角田:そうすると、フリとオチをどれだけ短くするかがテレビのチャンネルを替えられないための宿命なんですよ。ところが、映画は僕も映画監督をやってわかったんですけど、だいたい2時間あって、滅多にその途中で席を立つ人はいないから、2時間のうちの1時間59分をかけて壮大なフリをつくって、最後の1分で壮大なオチをしてもいいわけですよね。

中村:なるほど。

角田:ところがテレビでそれをやると、みんなチャンネルをまわしちゃうし、見なくなる。フリとオチを3分に1回とか、1分に1回とかの高速でフリ、オチ、フリ、オチとやらなければいけない。そのときにひな壇芸人のしゃべりってちょうどいいんですよ。

一同:あぁ~(納得)。

角田:クイズ番組もちょうどいいんです。問題がフリで、解答がオチだから、フリを言ったらオチが気になるから、みんなオチまで待つじゃないですか。それでオチの解答を聞くと、聞いた瞬間にまた次の問題を出されるから、ずっとみんな見ちゃう。クイズ番組のようにネタを消費していくのが、たぶんひな壇なんじゃないかなと思いますね。それが視聴率獲得という目的にはすごく向いているわけです!

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