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世界の面白プロモーションに見る 人を動かすアイデア7選 Vol.04

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株式会社宣伝会議は、月刊『宣伝会議』60周年を記念し、2014年11月にマーケティングの専門誌『100万社のマーケティング』を刊行しました。「デジタル時代の企業と消費者、そして社会の新しい関係づくりを考える」をコンセプトに、理論とケースの2つの柱で企業の規模に関わらず、取り入れられるマーケティング実践の方法論を紹介していく専門誌です。記事の一部は、「アドタイ」でも紹介していきます。
第4号(2015年8月27日発売)が好評発売中です!詳しくは、本誌をご覧ください。

世界を見渡すと、日本ではあまり見られないような驚きのアイデアで人の心を掴み、行動を喚起したプロモーションが数多くあります。マス広告を打たなくても、人は集まる、モノは動く。そんな事例を紹介します。

01 人気絵本の世界を再現。リアル・ウォーリーをさがせ!
ヴァージン・トレインズ「Where’s Wally? Hunt」(英国)

英国の鉄道会社 ヴァージン・トレインズが、今年の夏休み期間に合わせて、ファミリー層向けに実施しているキャンペーンは、子どもから大人まで、世界中で愛される絵本『ウォーリーをさがせ!』の世界をリアルに再現するという企画だ。

マンチェスター、リヴァプール、エディンバラといった、ウェスト・コースト本線の各駅構内や駅周辺に、100体のウォーリーを配置。ウォーリーを見つけたら一緒に写真を撮影し、ハッシュタグ「#FoundWally」を付けてヴァージン・トレインズのTwitterアカウント宛てにツイートするか、同社Facebookページに投稿する。7月20日から8月31日の6週間の間に、最も多くのウォーリーを見つけた人に、豪華なロンドン旅行がプレゼントされるという企画だ。

100体のウォーリーは、おなじみのコスチュームを身に付けた“実写版ウォーリー”もいれば、大小さまざまなパネルやステッカーの場合もある。絶好の家族旅行シーズンに、同社が新発売したファミリー向けチケットを訴求する狙いがあった。

02 いい汗かいたら、スポーツドリンクがもらえる自販機
ゲータレード「Sweat Machine」(カナダ)

米スポーツドリンクブランドのゲータレードがカナダのトロントで展開したのは、“(スポーツやトレーニングをして)十分に汗をかいた人だけが、無料でドリンクをもらえる”自動販売機「Sweat Machine」だ。

トロント市内、数カ所の公園に設置された自販機には、コイン投入口の代わりに、手をかざす部分がある。ただ手をかざしただけでは何も起こらないが、ジョギングやサイクリングをして汗ばんだ手をかざすと、「Congrats!」の声とともに、ゲータレードが出てくる。

自販機に興味を持った人が次々と近寄ってくるものの、思うようにドリンクをもらえず、マシンに「Go Harder!(もっと頑張って!)」とダメ出しされる人が続出。

コンセプトムービーには、マシンの指示に従って、その場で腕立て伏せやスクワットをして必死に汗をかこうと奮闘する人たちの様子が映し出される。汗をかくこと、つまり運動をすることをブランドとして推奨するとともに、運動後の水分補給にはゲータレードが最適であることを訴求する狙いがあった。

03 実験!美味しいコーヒーとお菓子で、初対面の2人の仲は深まる?
ロータス・ベーカリーズ「Blind Coffee」(ベルギー)

キャラメル味のビスケットで知られる、創業80年以上の歴史を持つ、ベルギーの老舗菓子メーカー ロータス。同社は、美味しいビスケットとコーヒーが、初対面の人同士のコミュニケーションにどんな好影響を与えるかを確かめる実験「ブラインド・コーヒー」を実施し、オンライン/オフラインにおけるブランドの話題化を図った。

Facebookページ上のアプリを通じて、実験の参加者を募り、応募者は指定された日時にカフェを訪れる。カフェに到着すると、そこにはもう一人の応募者の姿が。二人がテーブルにつくと、実験がスタート。コーヒーとロータスのビスケットを楽しみながら、自由に会話をし、お互いにもっと相手と話したいと思ったら、テーブル上のベルを鳴らすルールになっていた。結果的には、ほとんどの参加者がベルを鳴らしたという。参加者を含めSNS上で話題が拡散し、アプリには期間中1200人以上がアクセス。また、ロータスのFacebookページのファン数は54%増、インタラクション数は92%増と、ブランドとファンとの間のエンゲージメント向上につながった。

04 子ども心を思い出せる、愉快なお見合いパーティー
ケロッグ「Kid-Directed Dating Events」(カナダ)

ケロッグが、新発売した全粒小麦粉100%のシリアル「Mini-Wheats」のPRを目的に実施したのは、「お見合いパーティー」だ。テーブルを挟んで向かい合って座り、規定時間内に自己紹介を行い、時間が来ると隣のテーブルに移って、また別の相手と会話をする――これを繰り返していくベーシックな内容の会だが、実は参加する女性のうち一人が“仕掛け人”。彼女の耳にはワイヤレスホンが仕込まれており、会場の隣にある控室から発信される、3人の子どもたちの指令に従って動く。

「鉛筆を鼻の穴に突っ込んで」「相手の男性に口紅を塗って」と、指令の内容は大人の女性にはハードルの高いものばかりだ。突然おかしな行動をとる女性に最初は戸惑う男性陣も、徐々に打ち解け、最後には一緒になっておかしな行動を楽しむようになった。

イベント終了後、司令塔の子どもたちが登場してネタばらし。初対面の人と会う時は、第一印象を良くしようと必要以上に緊張してしまうもの。男女ともに肩の力を抜いてもらうことで、ブランドが提唱する「Feed Your InnerKidult(子ども心を大切に)」を伝えた。

05 チョコでできたチラシ、“食べ残した分”だけ割引します
SureSlim「The Chocolate Flyer」(南アフリカ)

南アフリカの美容クリニックSureSlimは、同社が提供する「顧客一人ひとりに合わせてカスタマイズできるダイエットプログラム」を訴求することを目的に、前代未聞のチラシを配布した。このチラシ、なんと全面チョコレートでできている。

一見、一枚板に見えるチョコレートチラシだが、裏返すと20のブロックに分かれていることがわかる。同封された手紙には、こうある――「本気でダイエットするなら、このチラシをお近くのSureSlimのお店に持って来てください。残っているチョコレートの分量に応じて割引します」。1ブロックあたり1%、チョコレートの誘惑に打ち勝って、まったく手を付けずに店頭に持って行けば、最大で20%の割引を受けることが可能というわけだ。

単に“食べられるチラシ”という企画に留まらない、チラシを受け取った人の気分やモチベーションによって割引率が変わる、ユニークなダイレクトマーケティング事例である。担当広告会社は、南アフリカのヨハネスブルクやケープタウンに拠点を持つPublicis Machine。

06 Twitter の投稿履歴で判定!ファンなら美味しいトーストを試食
マーマイト「Love Cafe」(英国)

ビールの酒粕を主原料とする「Marmite(マーマイト)」は、英国では“一家に一瓶”と言われるほどポピュラーな存在で、トーストなどに塗って食べられている定番の調味料だ。

同ブランドは、新商品「Marmite Summer」のプロモーションの一環で、Twitterの過去の投稿履歴を活用したキャンペーンを実施した。具体的には8月4日・5日の2日間限定で、ロンドンにポップアップカフェ「Marmite Love Cafe」をオープン。店頭備え付けの「love-o-meter」というツールをTwitterと連動させることで、来店客の過去のツイートを分析。内容から、その人が「マーマイト好き」か、「マーマイト嫌い」かを判定し、前者ならば、「Marmite Summer」とチーズを載せたトーストが無料でもらえるという企画だった。

マーマイトのブランドスローガンは「Love it or Hate it」。マーマイトは日本で言う納豆のような存在で、好きな人と嫌いな人が明確に分かれる健康食である。今回のキャンペーンは、マーマイトらしさを前面に打ち出した施策だったと言える。

07 世界環境デーに合わせたドッキリ企画で、エコ志向が高まる?
ルノー、Uber「Eco-friendly rides」(ルーマニア)

フランスの自動車メーカーのルノーが、タクシー配車サービス「Uber(ウーバー)」とタッグを組んで実施した施策。ルノーの電気自動車「Zoe(ゾエ)」のPRを目的としたもので、国連が定める「世界環境デー」である6月5日の1日限定で行われた“ドッキリ”企画だ。

ドッキリの舞台は、Uberで予約されたZoe車種のタクシーの車内。老若男女さまざまな人々が、何も知らずにタクシーに乗り込む。ふと車内で流れるラジオに耳を傾けると、「今日は世界環境デー。ここで、今年最もエコに貢献した人を発表します!」という声が。続いて「受賞者は、今まさに100%クリーンエネルギー車のZoeに乗車中の○○さん(乗客の名前)です。○○さん、おめでとう!」と乗客の名前を呼び掛ける。突然のことで事態が飲み込めずに戸惑ったり、思わずニヤリとしたり…。乗客には降車時、“エコパーソン”としての表彰状も贈呈された。

日常の移動シーンに、ちょっとしたサプライズを付加することで、Zoeの環境性能の高さを効果的に訴求することに成功した。


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