Anomalyが強い、3つの理由
社員数は2013年から18%増の420人、売上は昨対比135%を達成したAnomaly。その強さの理由を、ヴァルカン氏は「3つの柱」として紹介した。
【1】チャネル(広告)ではなくビジネスを扱うこと
自社開発コスメティックブランド「eos」。シェービングブランドから、商品のブランディングを依頼されたものの、競合ひしめく市場の中で、差別化を図るのは困難を極めた。そこで着目したのが、コスメティックカテゴリー。シェービングソープ・クリームのスキンケア効果を、リップスティックに生かしてはどうかと考えたのだ。そうして生まれたのが、リップケア効果が高く、香りも良い、かつバッグの中で探しやすい形状をした、これまでにないリップスティックだった。「eos」は、2013年のカテゴリー売上トップブランドとなり、また2014年には派生商品も含めて1億ドルの売上を達成した。
あらゆるプロジェクトは、その企業・ブランドが抱える課題や真のニーズを特定するところからスタートする。デザイン、流通、商品そのもの…売れない理由がどこにあるのか、さまざまな角度から分析し、アドで解決することを前提としない。
このアプローチを支えるのが、業界内外の幅広い領域からAnomalyに集まる多様な人材だ。
現在、Anomalyの社員は420人(2013年から18%増)。アカウントマネージャーやビジネスデベロッパー、イノベーションディレクター、エクスペリエンス(体験)デザイナー、メディアプランナー、デジタルアナリストなど、幅広い職種で構成され、元・ファッションデザイナーや元・音楽プロデューサーなど、多様なバックグラウンドを持つ人材が、それぞれの専門性やスキル、個性を発揮して、クライアントの課題解決にあたる。
「クライアント企業出身の社員もいて、クリエイティブアイデアの成否の判断において重要な役割を果たしてくれています」とVulkan氏。
前述のPR活動には、そうした優秀な人材を獲得する目的もある。社員に求めるのは「起業家精神」。自身の専門性を最大限に発揮しながら、互いの専門性をリスペクトし、好奇心を持って学び合おうとする姿勢は、Anomalyのプロジェクトにおいて不可欠だ。自然発生的なコラボレーションが、手法に捉われないソリューション提案を実現している。
【2】企業家的(リスクをとる)な報酬体系の確立
米国のエージェンシーの多くが「(プロジェクトメンバーの)人数×時間」で算出されるフィー制を採用している中、Anomalyは「レベニューシェア」(成果報酬制)をとっている。