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世界一知的でグラマラスな、クリエーティブの教養コラム。古川裕也氏、初の著作
『すべての仕事はクリエイティブディレクションである。』(宣伝会議刊)を記念し、前回好評だったコラム「脳のなかの金魚」が全6回で復活。これまで出会ったさまざまな名作映画、音楽、小説を手がかりに、広告クリエーティブの仕組みや考え方をつづっていきます。
今年夏。ザ・ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンの伝記映画が日本でも公開された。
封切り時、見損なっていた。仕事が立て込んでいて。(このような理由のこのような振る舞いが人間を確実に劣化させる)。
羽田―シャルル・ド・ゴール間の機内で、往路復路1回ずつ見た。あのモニターで見るのはいかがなものかというのと、12時間のうち9時間は眠っているので、基本、飛行機では映画は見ないのだけれど、今回だけは、我慢できなかったのだ。
実は少し泣いた。飛行機の中で。死ぬほど恥ずかしい。
タイトルは、“Love&Mercy”。キャストだけひと工夫施してあって、1960年代のブライアン・ウィルソンを演じるのが、ポール・ダノ(すごく似ている)。80年代をジョン・キューザック(まったく似ていない。そこは捨てて、独特の立ち居振る舞いを表現する能力でキャスティングされている)という風に、ひとりの役に2人のアクターをあてがっている。
簡単に説明しておくと、60年代、『サーフィン・U.S.A.』などのビッグ・ヒットによって絶頂期にあったザ・ビーチ・ボーイズのすべてのクリエーティブ・パートを担っていたブライアン・ウィルソンが、様々な理由により内面を病んでいき、80年代後半にようやくある種のハピネスを回復するまでの、ほぼ100%自伝的な映画だ。
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古川 裕也(電通 CDC局長 / エクゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター)
古川 裕也(電通 CDC局長 / エクゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター)
古川裕也(ふるかわ・ゆうや)電通 コミュニケーション・デザイン・センター局長、エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター。クリエイター・オブ・ザ・イヤー、カンヌライオンズ28回、D&AD、One Show、アドフェスト・グランプリ、広告電通賞(テレビ、ベストキャンペーン賞)、ACCグランプリ、ギャラクシー賞グランプリ、メディア芸術祭など受賞多数。カンヌライオンズ、D&AD、クリオなど、国内外の審査員・講演多数。2013年カンヌライオンズ チタニウム・アンド・インテグレーテッド部門の審査員を務めた。
主な仕事:九州新幹線全線開業「祝!九州」。中央酪農会議「牛乳に相談だ」。JCB「買い物は世界を救う」。リクルート「すべての人生がすばらしい」など。
古川 裕也(電通 CDC局長 / エクゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター)
古川裕也(ふるかわ・ゆうや)電通 コミュニケーション・デザイン・センター局長、エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター。クリエイター・オブ・ザ・イヤー、カンヌライオンズ28回、D&AD、One Show、アドフェスト・グランプリ、広告電通賞(テレビ、ベストキャンペーン賞)、ACCグランプリ、ギャラクシー賞グランプリ、メディア芸術祭など受賞多数。カンヌライオンズ、D&AD、クリオなど、国内外の審査員・講演多数。2013年カンヌライオンズ チタニウム・アンド・インテグレーテッド部門の審査員を務めた。
主な仕事:九州新幹線全線開業「祝!九州」。中央酪農会議「牛乳に相談だ」。JCB「買い物は世界を救う」。リクルート「すべての人生がすばらしい」など。
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