【前回のコラム】「家具屋からコピーライターになるまで。」はこちら
——なぜ3人で「バルドラール浦安」というフットサルチームのポスターを手掛けることになったのかを教えて下さい。
後藤:もともと3名とも職場が恵比寿という共通点があり、コピーライター養成講座先輩コースに通っていたときから、「なにか一緒にしたいね」と話していました。
濱口:そんなとき、同じ先輩コースの受講生が、あるフットサルチームが告知用のツールをつくるためのパートナーを探している、ということを教えてくれました。そこで、つないでもらい、提案のチャンスをもらったんです。
——クライアントである「バルドラール浦安」からはどのようなオリエンや要望がありましたか?
濱口:通常、フットサルチームはリーグ戦の開幕前に、年間を通して使えるポスターを作ります。大きなビジュアルにコピーを載せ、下部には対戦スケジュール。試合会場や近隣のお店などに貼ってもらうためのものです。
後藤:フットサル界とFリーグ全体を、このチームで盛り上げたい。「バルドラール浦安ってやるよね!」と思ってもらえるようなポスターを作りたい、という先方の思いがありました。
シーズンが既に開幕している段階でもあったので、インパクトのあるポスター、とにかく面白いものをやりたい、というのがスタート地点でした。また、シーズン半ばから掲出するものなので、そのタイミングだからこそできることがしたいという思いもありました。
桜井:そういったクライアントの思いを聞いたあと、まず、目的の整理をしました。新規ファンの獲得なのか、休眠中のファンを会場にまた呼ぶことなのか、などです。でも、新しい人を連れてくるためには、ハードルがまだ高いと思いました。であれば、ファンの方の間で面白がられるようなものを作ったほうがいいだろうと。会話をしていくなかで、「バルドラール浦安」の代表もそう思っているはずだと感じ、方向性を決めていきました。
濱口:そうやって、ファンの間で面白がってもらえば、その人が友人を誘いやすくなるんじゃないかとも思いましたね。
その後、週一で、仕事の合間を縫って集まり、ラフをもち寄り、打ち合わせを重ねました。実は、提案をする時期に、バルドラールはやや調子を落としていたんです。そこで、見つけたテーマが「革命」だったんです。
桜井:掲出を予定していたのは、強豪チームである「名古屋オーシャンズ」との試合前で、注目度がとても高い時期でした。そんな強い相手を前にしたときこそ、逆境の中だからこそ、出せる力があるんじゃないかと思ったんです。例えるなら、それは辛い状況下で「革命」を起こそうという民衆の団結力、気概のようなものではと考え、それを表現する企画にしました。
濱口:もともとはポスターを作りたいという要望だったのですが、プラスアルファで、SNSを使った企画や動画のアイデアなども提案しました。
最終的には、ドラクロワの「民衆を導く自由の女神」のパロディをしたポスター案が採用されました。このビジュアルと「強い相手がいるから、革命があるんじゃないか」というコピーを特に気に入ってくださりました。
【バルドラール浦安 代表 塩谷竜生さん 今回の提案を採用したポイント】
今シーズンはチームの調子が上がらず苦しんだ前半戦でしたが、後半戦に向けて改めて巻き返しを図る決意のもとで、「革命」というキーワードがチームの目指すものと一致していたことがあります。
また、何かをきっかけに話題作りをしたいと考えており、真面目に「パロディ」が出来ないか?と考えていた中で、提案をいただいた図案、内容がマッチングしたことに尽きると思います。
出来上がりは、我々が想像していた以上のクオリティでしたので大変感激していますし、フットサルという狭い世界ですが、非常に大きな話題となったのは嬉しい限りでした。
——どういった場所に掲出しましたか?また、反響はどうでしたか?
桜井:掲出場所はホームタウンの浦安市内が中心です。チームとお付き合いのある地元のお店、地域のコンビニ、スポンサーの店舗、フットサルの試合会場などに掲出しました。
濱口:ファンからの反響がかなりあり、当初の予定から増刷をしました。貼るだけではなく、試合会場の抽選会で景品としてプレゼントしたのですが、上位の商品よりも、ポスターがいいって言ってくださる方もいました。最初はポスターを作りたいという話だったのですが、他にも団扇やフライヤーなどに展開されて、試合会場に来てくれたお客様に先着でプレゼントしました。
後藤:バルドラール浦安さんからも、前までもポスター作っていたんだけど、今回は特にクオリティが高いと誉めてもらいました。「他のチームの関係者からも、バルドラールさんのポスターいいねって言われたりして、正直驚いています」と言ってくれています。
リーグ戦が開幕してから、若者たちが「こんなのやりましょう!」というのを持ち込んできたという姿勢も気に入ってくれたんだと思います。実は、既に来シーズンの話ももらっていて、継続してポスター以外の制作物も提案もさせてもらえる予定になってます。
濱口:同じ先輩コースの修了生の中には、昨年話題になった「早慶戦」のポスターを制作した近藤くんと矢部くんがいました。僕たちのチーム発足後に、先にあちらが世に出たので、先を越された!と思いました。
桜井:奇しくも同じスポーツというジャンルで、しかも対戦系になるので、二番煎じみたいに見られないように意識しました。
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