コラム

コピーライター養成講座 講師・卒業生が語る ある若手広告人の日常

家具屋からコピーライターになるまで。

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【前回のコラム】「広告をしたいから、広告をしないと決めた。」はこちら

最終回となります。
北陸・富山のコピーライター、城川です。ありがたいことに前回のコラムを読んでいただいて、当時の僕と同じような状況で悩んでいるという広告志望の就活生から少し強烈な質問を受けました。あとがきでお答えさせていただきましたので、よろしくお願いします。

「接客」と「コピー」

コピーライターになるために家具屋になった(?)僕は、金沢の店舗へ配属されます。家具屋ですので力仕事も多く、クレーム対応も主な業務ですが、そういった「現場」の中で商売人の基礎は鍛えられました。特に「接客」は大きな経験でした。

接客技法のひとつに「ベネフィット話法」というものがあります。商品の特長を文字通りに伝えるのではなく、より具体的に伝える方法です。ハイバックのソファであれば、「背もたれが高い」→「何時間テレビを見ていても疲れませんよ」というように。反対にロータイプは、学生のワンルームであれば「お部屋が広く見えます」、和室であれば「座卓など低い家具にもなじみます」と、お客さんの現状や要望を伺いながら訴求点を探り、それを具体的にイメージできるように表現します。

ここで気付いたのは、当たり前かもしれませんが、この考え方はコピーと一緒だということです。接客文句はコピー。むしろ、1対1の接客文句を効率化するためにメディアに乗せたものがコピーなのでしょうか。「接客はコピーの原点」と考えてからは、接客ひとつひとつが、反応も売上としてダイレクトにはね返る、コピーの修行場になりました。

宣伝会議賞で、もう一度奇跡を。

家具屋入社一年間は、広告と一切距離を置くことにしていました。一年経ってよくわかったのは、別に広告がなくても不自由なく生きていけるということ。でも、なぜでしょうか。

やっぱり広告がしたい。

第52回宣伝会議賞「眞木準賞」。山本高史さんにコピーを読み上げられたときは頭が真っ白に。

その思いは強くなる一方でした。とはいえ、異業種・未経験からいきなりコピーライターになるなんて難しいのが現実です。だからこそ、宣伝会議賞です。一回「シルバー」が出たのなら、もう一回くらいマグレも出るんじゃないか。奇跡を起こそう。そういう意気込みで取り組んだのが第52回でした。

その意気込みも結果論ですので、まさか「眞木準賞」という自分の想像も実力も遥かに超える奇跡が起こるとは思ってもみませんでした。うれしさより畏れ多さの方がよっぽど大きいのですが、本当にありがたい受賞です。

十年来の夢、コピーライターになる。

実は受賞の少し前に、富山の制作会社である弊社に内定をいただきました。学生時代、一度だけお会いしたHCC(北陸コピーライターズクラブ)会員の方に、宣伝会議賞に応募するコピーの添削を思い切ってお願いしたのがきっかけです。

お話しを聞く中で、新幹線が通り市場環境が大きく変わる今の北陸にはチャンスがあると感じました。そして、そのご縁で繋いでいただいた面接。提出したのは、大学サークルでの制作物やコピーライター養成講座の課題です。新卒では、いっそやらなきゃよかったと後悔した広告の経験が、こうして実を結びました。

晴れてコピーライターとなり約半年。プロとしての難しさを感じる毎日です。それでも、夢を叶えてくださったすべてのご縁、そして未経験の僕を採用してくれた会社のためにも、早くポンコツライターから脱皮してきちんと利益を生み出せる人間になりたいと思っています。

つたない文章にも関わらずお付き合いいただき、ありがとうございました。人にアドバイスができる人間ではないので、いっそ超主観的なコラムをめざしたのですが、赤裸々に書きすぎて穴があれば入りたいです。でも、これまでの人生の棚卸しができました。

今年は宣伝会議さんの北陸本部も開設され、コピーライター養成講座も開講されていますので、今後北陸に若手のライバルが増えるのが楽しみです。また、「HCCコピー年鑑」も10月に発刊されています。北陸の先輩たちの仕事が詰まっています。もし今回のコラムで、北陸のこと、北陸のクリエイティブのこと、少しでも興味をもっていただければ幸いです。

あとがきもありますが、ひとまず、ありがとうございました。

次ページ 「あとがき」へ続く

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