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コラム

『編集会議』の裏側

LINE・宝島社・KADOKAWA担当者に聞く 編集者の採用基準

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LINEのキラークエスチョン「ブラウザは何を使っているか」

——面接の話が出ましたが、採用を担当する立場として、主にどのような質問をされていますか。

紙以外のグッズ付き商品を出し、新たな活路を見出している(写真は、藤定氏が統括するマルチメディア編集部で作成したもの)。

藤定:当社では、基本的に中途採用が中心です。出版に限らず、商社や住宅、メーカー、小売、代理店など、異業種から入社している人の割合も多い。その場合、実績よりも、なぜ編集の仕事がしたいのかを聞き、その動機が強いかどうかを確かめます。また、企画を出してもらうので、面白い発想力を持っているかどうかも見ています。

桜川:KADOKAWAさんは毎年採用活動をされていますよね。

KADOKAWA・DWANGOの採用ページのトップ画。「これからの出版社には、ネット時代にふさわしい新しい編集者像を確立することが求められている」(同 代表取締役社長の川上量生氏)。

鈴木:KADOKAWAでは、毎年20人前後の新卒採用をしています。最近は無料で読んだり、楽しんだりできるコンテンツも多いので、どの程度ビジネスマインドを持っているかということを確かめています。あとは、情報収集をする際の媒体やどんな情報網をもっているか、実際にどのように情報を活用しているかなども聞いていますね。

藤定:企画を出してもらうと、その人がどのようなソースから情報収集しているかがわかります。友人からなのか、ネットからなのか。それが、広く一般の人にも広がる客観的な視点を持った企画だと、活躍してくれそうだなと思います。

桜川:LINE NEWSは、扱うネタが幅広く膨大なので、コアな部分を押さえつつ、知識は広くまんべんなく持っていることが求められます。とくに最近の若い人はテレビをあまり見ませんが、やはり多少なりとも見ていてほしい。自分と違う世代の人が、日々どういう情報に接しているかというのは、企画を立てるときに初めて考えるようでは遅いんです。世間の空気感を日常的に感じるためにも、テレビのような大衆的なメディアに触れておくことは大事だと思います。同時に、ネットのリテラシーも重要です。例えば、面接でキークエスチョンにしているのが、「ネットのブラウザは何を使っているか」ということ。これを聞くとその人のリテラシーが大体わかります。

鈴木:それは面白い視点ですね。当社では、面接で企画を出してもらう場合は、企画を通じてネタ元を判断しています。私たちが知らないような情報網で、かつ新鮮な切り口で物事を見ているといったことがわかれば、面白いなと思います。

アクティブユーザー数が1200万を突破した「LINEニュース」。現在編集者を積極的に採用しているという。

桜川:当社は中途入社が多いので、やはり実績で判断することは多いです。一方でアルバイトの場合は、「その日一日に流れたニュース10件をランキングし、タイトルを付け直す」ことを課しています。ランキングの妥当性やタイトルの付け方がWeb向きかどうかという点を見ています。

藤定:未経験者の場合、契約社員やアルバイトからでもいいから、「とにかく編集の仕事がやりたい」と言われると覚悟が決まっているんだなと感じます。実際、当社では、アルバイトや契約社員として入社し、その後、自分の企画でベストセラーをつくるなどの結果を出して、社員になったという人も多いですね。

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