広告産業で「人」はどこまで必要か?
AI(人工知能)とシステムで代替可能な部分がどこまでなのか?様々な業種で議論されていますが、もちろん広告産業も逃げられません。
広告産業の中で、どの領域が代替されてしまうのか、残念ながらメディアプランニング、メディアバイイングは置き換えられやすい領域だと考えられます。というのも、極端に言えば、プランニングなどというのは不要で、「どこでもわけわからずに広告を掲出してしまい、その反応を見ながら修正していく」、といった今まさに運用型広告で行われていることが、今後さらに効率的に遂行できるようになっていくと考えるからです。
このように、メディアプランニングやバイイングの領域は、人の手を介さない状況へ、さらに進むのではないかと推察します。しかしながら、クリエイティブの表現次第で、消費者へ伝わる内容や理解度は同じ結果になりません。さらには、広告原稿を限りなくリアルタイムに変更して掲載したとしても、その運用をする人のセンスによっても差が出ます。人の力量やセンスによって、差が生まれるのではないか。そうなると、人によって大きく変化しない媒体マージンのビジネスではなく、人の優劣によるフィーベースの取引の方が増加するのではないかと思います。広範な業界知識と実績、さらには実作業もこなせる人はフィーが高くなり、置き換えられない人材として重用される。ある意味、適切な競争になるのかもしれません。
また、マーケティングオートメーションという言葉が使われるようになった通り、「こうなったらこういうアクションをする」というルールベースのマーケティング活動も置き換えられていく領域でしょう。しかしながら、「どうやってルールを学習するのか?させるのか?ルールをどのように決めるのか?」については、人間がやらなければならない領域であることは変わりません。こういったマーケティングの全体像を捉えてシステム的に発想し、構造化させられる担当もフィーベースで稼働し、必要とされる人材として目立っていくと思います。当然ですが、クリエイティブ領域は置き換えられるとは想定できません。
ダラダラと書いてしまいましたが、「ネット広告営業の価値は?」と問われたとすると、「枠販売以外のところのスキルで人の価値が変わり、価値が高い人がいるところに枠販売の取引が集約されていく」というのが僕の答えになります。
最後に。
スマホが普及し始めたとき、アプリを提供する企業が急激に増えました。アプリのコンテンツデータよりも、広告データの方がサーバとやりとりする頻度が高いため、広告のトラフィック量の方がコンテンツよりも多くなってしまうという問題が起こってしまいました。無料アプリでビジネスするには広告で稼ぐしかないため、広告データがむやみにやり取りされてしまい発生した課題です。私は、広告はメインであってはいけないのだと信じています。
新聞、雑誌、ラジオ、テレビなどは広告の量がコンテンツに対してどの程度であれば、ユーザが受け入れるということを長い時間かけて行き着いたのだと思います。今のWebやアプリ、デジタルサービスを見ていると、タイミングや頻度など含めて、適切な比率ではない気がします。
そのため、アドブロックのようなサービスが登場したりするわけで、広告はあくまでメインのビジネスを円滑に進めるためのサポート役であることを再認識しないと、「ネット広告営業」がどうのこうのとか言う以前の話になってしまうと思います。
デジタルメディアの信憑性もそうですし、デジタルはまだまだ発展途上ですね。
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