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コラム

澤本・権八のすぐに終わりますから。アドタイ出張所

台本があるから、テレビ番組はつまらなくなる!(ゲスト:矢追純一さん)【前編】

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マスコミにはありとあらゆることを報道する責任がある

矢追:えぇ。そんなUFOのことばっかり考えてる奴って頭変でしょう?

一同:

矢追:自己紹介しろというと、みんなすぐ自分の職業を言いたがるでしょう。「○○会社の部長です」みたいな。それっておかしいと思うんだよね。人間そのものを表してるんじゃなくて、単なる職業を言ってるだけだから。それもたまたまそこへいった話であって、本当にそこへいきたくていった人って少ないんですよ、意外に。オリンピックを目指すと、そこへちゃんといくんですけど。若いときはなんだからわからなくてウロウロしている内に偶然でこの会社入っちゃいましたみたいな人が多いわけじゃないですか。

権八:そうですね。

矢追:それはその人を表しているわけじゃないので、本質は「人間をやってくこと」なんですよね。みんな死ぬまで生きてるから、始末が悪いことに(笑)。だから、それまでの間、自分がどのように生きていくかというポリシーは決めておかないとまずいと思うんです。そのポリシーが誰にもないので。誰にもないと言っちゃ悪いんだけど、99%の人が自分のポリシーがないので、どっちを選んでいいかわからないとしょっちゅう迷うわけですよ。つまり、自分の方針が決まってないから、いちいち迷うんだよね。それで自分で判断がつかないからすぐ人に答えを求める。そうやってると、人間やってることにならないんですね。

権八:早速、番組冒頭から僕ら説教されてるような気分になってるんですが(笑)、矢追さんご自身はどうして「自分はこうだ」という実体、主体をつかんだんですか?

矢追:「自分はこうだ」というんじゃなくて、言ってみれば開き直ってるわけです。どういう風につくろってみても、自分は自分でしかないので、自分を生きていくしかないわけじゃないですか。そう思ってるだけなんですよ。僕は目標なんかないです。「なるべく働かないで、グータラしながら余裕をもって死ぬまでいこう」と思っているのが唯一ポリシーですね。

権八:矢追さんと言えば、当時、一世を風靡した『11PM』という番組だったり、『木曜スペシャル』の名物ディレクターでいらしたわけですが、こういった番組をいろいろ手掛けられて、そのときもそういったポリシーをお持ちで番組づくりをされていたわけですか?

矢追:いやいや、何もありません。ものすごくいっぱい、いろいろなことがあってね。『ヤオイズム』を読んでもらうと全部わかると思うんですけど、これでも書き切れてないんですよ。これまで僕が経験してきたことの10分の1も書いてない。

澤本:これでですか? ものすごい本ですけどね、これ。

矢追:そうですか? ありがとうございます。たとえば、UFOやオカルト番組は矢追がやったとおっしゃっていただいてありがたいんですけど、もともとはオカルトをなぜやっているかというと、テレビ局の人、マスコミの人って当たり障りのないことばかりやりたがるんですよ。それが保身なのかわからないけど、人にとやかく言われるようなことをしたがらない。したがって常識的なこと、つまり科学が解明していることでないと手を出さない。つまり、安全パイを常に打ってるわけですね。

澤本: なるほど。

矢追:それはマスコミとしてはまずいだろうと。マスコミ人としては、ありとあらゆるこの世に起こっていることを報道する責任があるんじゃないか。ひるがえって考えてみると、この世の中で科学的に解明できないもののほうが、はるかに多いんですよ。そこにみんな手を出さないということは、聞いてるほう、見てるほうにしては非常に中途半端でフラストレーションになりますよね。だから、僕はあえて常識的でないことばかりをやったからオカルトの番組になってきたわけです。

澤本:たとえば、オカルトの番組も最初におっしゃってましたけど、筋書きがないじゃないですか。ユリ・ゲラーさんを呼んで、「テレビカメラの前でスプーンを曲げてくれ」と言って、テレビの前の人達にも呼びかけて。でも、あれもどうなるかわからないことですよね。

矢追:もちろん、そうですね。

澤本:それがすごいと思って。あのとき台本があったわけじゃないですよね。どういう状態で撮影に入ったんですか?

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