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コラム

『編集会議』の裏側

若手校閲者に、「校閲」の仕事について聞いてみた

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「大事なのはわかるけど、書籍一冊を買って学ぶ時間がない」という人向けに、好評発売中の『編集会議』では、「文章を書く人が知っておきたい“校正と校閲”」を特集。ミスを防ぐために、どのように「校正・校閲」をするべきか。また地味に思われがちな「校閲」の仕事の魅力とは?本誌では、失敗実例からその対策までをコンパクトにまとめています。

毎日新聞社の「校閲」の仕事とは?

――松風さんは、なぜ「校閲」の職種を志望されたのでしょうか。

毎日新聞 情報編成総センター 校閲グループ 松風美香氏。2011年、校閲記者として入社。東京本社に配属され、現職に。

読むことが好きだったからですね。本や漫画に囲まれて育ったため、活字や言葉に関わる仕事がしたいと漠然と思っていました。校閲という職種があると知ったのは就職活動のときでしたが、仕事で色々なものが読めるなんて良いなと思い、出版社や新聞社の校閲職を志望するようになったんです。実際にやってみると、単純に読むだけではまったく仕事にならないことがわかりました(笑)。

――普段の作業は、どのような流れなのでしょうか。

記者が書いた原稿が、紙に印刷されて手元に届きます。文に線を引きながら、誤字脱字や誤った表現がないか、用語集の決まりに則った表記になっているかをチェックしつつ、読んでいきます。人名や住所などの固有名詞や数字が出てくる場合は、一つひとつ検索用のPCや辞典などで調べて、正しいか否かを確認する。また差別的な表現など、読む人が不快に思うところがないか、チェックするのも大事な仕事ですね。

間違いなどを見つけたら筆者に問い合わせた上で赤ペンで直しを入れ、それを先輩の校閲記者にもう一度読んでもらってはじめて、一本の記事が完成します。同じ記事を何度でも読み返し、時間の許す限り念入りに点検しています。

――ここで、松風氏が「またこれか!」と思う、誤用例あるあるを見てましょう。――

【誤用例あるある】

「けがを負う」という表現
→「傷を負う」と「けがをする」の混用。とても多い。「けがをする」と直す。

「作りすぎた料理をお裾分けする」
→お裾分けは「人からもらったものの余分を分ける」ことなので、「余ったお歳暮のお裾分け」などに使う。「料理を分ける」などに直す。

「明るみになる」
→「明るみ」は「明るい場所」の意味なので「明るみに出る」または「明らかになる」とする。

「製薬メーカー」と「製造メーカー」
→「製」の意味がダブるので「製造会社」「製薬会社」とする。
「排気ガス」も「気」と「ガス」がダブるので「排ガス」。「従来から」「かねてから」も同じく「従来」「かねて」。

「雨模様」
→実際に雨が降っている時に使われることが多いが、本来は「どんよりと曇って雨の降り出しそうな天気」のこと。疑わしいときは取材者に実際の天気を聞かなくてはならない。

お金を寄付するという意味で使う「募金する」
→「募金」は「お金を募ること」なのでお金を集める側の行為に使う。「募金に応じる」などと直す。

次ページ 「これまでにあった大きな失敗とは?」へ続く