映像クリエイティブに関心を持つ人のためのイベント
「チャレンジャーdeないと」は、映像クリエイティブに関心の高い若手クリエイターや企業の担当者、学生が集い学び、これからの映像クリエイティブについて議論するコミュニティ。ブレーンの主催する動画コンテスト「BOVA(ブレーンオンラインビデオアワード)」と連動し、映像クリエイティブのスキルアップの場、ネットワークづくりの場として企画されたものだ。今後毎月、青山にて開催される。
第1回目となる6月30日には、サントリー「伊右衛門」や日清食品「カップヌードル hungry ? シリーズ」をはじめとした話題のCMを多数手がける中島信也さん(東北新社)が登壇。スペシャルゲストとして映画『暗殺教室』などでも活躍中の若手女優、上原実矩(みく)さんも登場し、キャスティング会社イー・スピリットの足立茂樹社長がモデレーターとなって行われた。
中島信也監督が語るディレクター人生数々の転機
足立さんからはじめに中島さんに投げかけられた質問は、「中島監督はどのようにこのCMの世界を生きてきたのか?」。中島さんのディレクター生活は実に34年にわたる。だが、その中ではさまざまな失敗もあったという。トークの中では、25 歳の時に経験した屈辱の「監督チェンジ」のエピソードや、デビュー作となったナショナルのCMはじめ、初期の頃の上映などが行われた。「僕は美大出身でデザイナーになりたかったけれど、なれずに演出家になりました。最初の頃は映像のことは全然わからず、周りのプロフェッショナルたちに協力してもらわないと映像がつくれなかった。だから、僕の仕事はいわば“お願い稼業”から始まった。いかに周りの人に気持ちよく協力してもらうかを考え、現場を作っていくのは実は今も変わりません」。
そして、キャリアの中で出会ったさまざまな“ 偉人”たちが、中島さんのキャリアに転機をもたらした。例えば佐藤雅彦さん。「佐藤さんに『信也さんはすごいです、信也さんの作るCMには企画がありません。だから僕と組んで、僕の企画で映像を撮ってください』と言われて。どういうこと?僕も企画くらいできますよ!と思ったけれど、3分間の企画勝負でその差を思い知りました。そうか、ものすごく企画ができる人と組めばいいんだな、と」。こうした佐藤さんとのタッグでクリストファー・ロイド氏を起用した「フジテレビキャンペーン」などのCMが世に送り出された。
さらに、最近の転機は「冬ソナ事件」。「大貫卓也さんが当時『冬のソナタ』にハマっていて薦められて見たんです。そうしたら、役者さんの感情表現に衝撃を受けてしまって…。そうか、役者さんっていうのは、人の気持ちを表現できるんだ!と。それ以来、役者さんの見方が一変しました」。そこから生まれたのが、2008年の資生堂のCM「あたらしい私になって」。ふられて泣きそうな顔の女の子が、丁寧にスキンケアをしていく中で、だんだんと前向きな気持ちを取り戻していく様子が、細やかな表情の演技で伝わってくる。出演するマイコはこれがデビュー作で、中島さんにとっても新しい地平が開けたCMとなった。
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