62年前の宣伝担当者は何を考えていた?1954年の『宣伝会議』創刊号座談会を公開

ことしの薬業界の特殊事情とにらみあわせて

久保田:

ところで、ことしの薬業界の一つの傾向は、御存じのように特売をやつて小売屋へ押しこむことが強行されている。これは、毎年、毎年、ひどくなつている傾向ではあるが、ことしは、年頭から、特に、ひどい。大衆むけ宣伝費を減らしてまでこの特売費に当てている。中には、3割ぐらいも、宣伝費を減らして特売サービスに当てているところもあるという。むろん、小売屋へ押しこんだ商品は、それだけでは、売れたことにならない。ただ、小売屋に預けただけにすぎない。集金に行けば、返品される。ひどいのは、景品だけ取りこんで、返品するのもある。そこで、どうしても、消化しなくてはならない。それが、ことしはたいへんなんだ。つまり、通常以上に押しこんである。いうまでもなく、不景気だから、そういうことになつているんだ。それであるのに、その消化のための大衆宣伝費は特売費に食われて通常よりひどく少いときている。このジレンマに非常な危険がひそんでいる。

続きを読むには無料会員登録が必要です。

残り 11251 / 13914 文字

KAIGI IDにログインすると、すべての記事が無料で読み放題となります。

登録に必要な情報は簡単な5項目のみとなります

「AdverTimes. (アドタイ)」の記事はすべて無料です

会員登録により、興味に合った記事や情報をお届けします

宣伝会議 編集部 (900号企画)
宣伝会議 編集部 (900号企画)
宣伝会議 編集部 (900号企画)
この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

このコラムを読んだ方におススメのコラム

    タイアップ